【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
ブレンさまはまだ食べていた。
いったい何個食べたのかしら、ブレンさま。すべて平らげて、「美味しかったですねー」と幸せにお腹を撫でている。
四人で一緒にフードコートをあとにして、クラスメイトたちの視線から逃れた。
「……刺さるような視線でしたね」
「もう少し、抑えてくれてもいいのにね」
頬に手を添えてつぶやくと、クロエはうなずいてくれた。マティス殿下の主治医である彼女と『マーセル』が一緒にいることも、リンブルグの王太子であるレグルスさまが一緒にいることも、おそらくこの国の貴族にとってはあまり面白くない状況でしょう。
レグルスさまたちと一緒にいるから、わたくしに手を出せない感じだろうし。
「……マーセルはずっと、こんな感じで過ごしてきたのかしら」
それを想像すると、ぞっと背筋に悪寒が走った。
クロエも複雑そうに表情を歪める。
その表情は、わたくしに対してなのか、マーセルに対してなのか……
「マーセル嬢は、どうしてなにも言わなかったのでしょうね」
ブレンさまが小首をかしげる。
「……本当にね」
先生たちに助けを求めることもしなかった。
それは、彼女のプライドなのかしら?
たった一人で立ち向かっていくのは、大変だったろうに。……彼女のことを、わたくしはなにも知らないわね。
「まぁ、なんにせよ……このトレードを終わらせるために、いろいろやってみないといけないわね」
「私も探してみます」
「ありがとう」
クロエが味方でいてくれる。
わたくしはもう、一人で立ち続けなくても良いのね。
そのことが、とても嬉しいの。
いったい何個食べたのかしら、ブレンさま。すべて平らげて、「美味しかったですねー」と幸せにお腹を撫でている。
四人で一緒にフードコートをあとにして、クラスメイトたちの視線から逃れた。
「……刺さるような視線でしたね」
「もう少し、抑えてくれてもいいのにね」
頬に手を添えてつぶやくと、クロエはうなずいてくれた。マティス殿下の主治医である彼女と『マーセル』が一緒にいることも、リンブルグの王太子であるレグルスさまが一緒にいることも、おそらくこの国の貴族にとってはあまり面白くない状況でしょう。
レグルスさまたちと一緒にいるから、わたくしに手を出せない感じだろうし。
「……マーセルはずっと、こんな感じで過ごしてきたのかしら」
それを想像すると、ぞっと背筋に悪寒が走った。
クロエも複雑そうに表情を歪める。
その表情は、わたくしに対してなのか、マーセルに対してなのか……
「マーセル嬢は、どうしてなにも言わなかったのでしょうね」
ブレンさまが小首をかしげる。
「……本当にね」
先生たちに助けを求めることもしなかった。
それは、彼女のプライドなのかしら?
たった一人で立ち向かっていくのは、大変だったろうに。……彼女のことを、わたくしはなにも知らないわね。
「まぁ、なんにせよ……このトレードを終わらせるために、いろいろやってみないといけないわね」
「私も探してみます」
「ありがとう」
クロエが味方でいてくれる。
わたくしはもう、一人で立ち続けなくても良いのね。
そのことが、とても嬉しいの。