【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
 フィッシュバーガーが山のように乗っているトレーを見て、思わず眉を下げる。これ全部一人でたべるのだろうか、と。そう考えていたらすごい勢いで食べ始めた。

 わたくしたちも、温かいうちにいただきましょう。……とはいえ、これどうやって食べるの?

 レグルスさまとクロエを見てみると、包装紙を剥がしてそのまま口元に運んでいた。

 少し抵抗があるけれど、そうやって食べるもの……なのよね?

 わたくしもそうやって食べてみた。

 ふかふかのパンにフィッシュフライ、千切りキャベツにソース……熱かったけれど、美味しい!

 フィッシュフライにも味付けされていた。分厚いのに歯切れが良くて食べやすい。

「美味しいですね」
「ええ、本当に……」

 にこにこと笑いながら、美味しそうに食べるブレンさま。食べ方がわりとワイルドなレグルスさま。

 口が小さいのか食べるのに必死になっているクロエ。

 ……でもやっぱり、水族館でフィッシュフライを食べるのは、いろいろ考えさせられるわね。

「視線が(わずら)わしいから、ちょっと早いけどお土産屋見てみようか」
「そうですね」

 こちらをじーっと見てくるクラスメイトたちの視線が刺さる。

 誰も話しかけてこないから、なんとも言えない不思議な感じ。

 様子を(うかが)っているのかしら。辺りを見渡すと、ばちっと視線が合った。

 だけど、すぐにそらされてしまった。

 これは明日、なにかありそうね。寮に戻ったら対策を考えておきましょう。

 メロンソーダもすべて飲み干し、食事を終える。

「捨ててくるよ」
「え、あ、ありがとうございます。……そ、そうだ、お金……」
「いいって。こっちが誘ったんだから」

 レグルスさまがパチンとウインクを一つしてから、トレーを持っていった。

 わたくしとクロエ、そして自分の分を。
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