【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
 それはちょっと意外。

 あのほのぼのとフィッシュバーガーを食べている姿を思い出して、ふふっと笑ってしまった。

「ブレンさまはお腹が丈夫なのですね」
「ヤツの胃はどうなってんだかね……」

 付き合いの長いレグルスさまさえわからないのなら、わたくしにわかるわけがないわね。それでも、彼らの会話を聞くのも楽しくて……

「レグルスさまたちと一緒に過ごしていると、あっという間に時間が過ぎていきますね」

 楽しい時間はあっという間に終わると、本に書いてあったわ。

 今、それを実感している。

 ……あ、このサメのぬいぐるみ、面白い顔をしているから、このぬいぐるみにしようかな。

 これを(かか)えて寮まで運ぶマティス殿下を想像して、口角を上げた。

「……」
「レグルスさま?」
「……いや、きみは……」

 レグルスさまは言いかけた言葉を切り、緩やかに首を振る。

 わたくしが首をかしげると、「買っておいで」と購入をうながした。
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