【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜

仮説。

「それは、……どういう意味、でしょう……?」
「その通りの意味さ。ブレン、魔法の属性は魂で決まるんだろ?」

 ブレンさまはこくりとうなずき、わたくしに近付いて観察――というよりは、診察するように目元を細める。

 クロエは、黙ってそれを見ていた。

「――はい。やっぱり、カミラさまの魂にはロックがかかっているように視えますね。それがどんな属性なのかはわかりません」
「ブレンさまは、魔術師学科のほうが向いていらっしゃるのでは……?」
「こっちの陛下に進言してくださーい」

 ……そうだった。わざと彼らを引き離したのは、この国の陛下だったわね。

 わたくしがゆっくりと息を吐くと、ブレンさまはすっと的に向けて魔法を放つ。

 炎の魔法だ。

 見ただけわかる――これは、この国の者では発動させることができない、複雑な魔法だと。

「確かにこっちのほうが、楽なんですけどね」
「ちなみに俺はどっちかというと剣のほうが楽だなぁ。ブレンが魔法得意なのは、家族の影響だろ?」
「ご家族の?」

 気になったのか、クロエが会話に混じる。

 ブレンさまが放った魔法で、的が落ちた。手加減してあの威力なのか……それとも、全力なのか……涼しい顔をしているのを見て、全力ではなさそうだと感じた。

「僕の母って占い師なんですよねー」
「占いと魔法に関係があるのですか?」
「僕の目は母譲り。人が得意とする魔法の属性が()えます。……もっと言えば、魂の色やいろんなものが()えます」

 そういえば、確かに『魂の色』のことを話していたわね。

 わたくしの魂は真っ白で、クロエの魂の色は青い炎と……、ブレンさまが口にしていたことを思い出す。
< 133 / 232 >

この作品をシェア

pagetop