【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
わたくしが好かれていなかった、というだけでもあるけれど。
マティス殿下に会う時間よりも、勉強のほうが忙しかったし……互いに愛し愛される努力をしてこなかったのだから、ある意味当然の結果なのかもしれない。
もちろん、そう簡単に許されることではないけれど。
「……強くなりなさい、マーセル。マティス殿下の傍にいたいと、思うのなら」
その言葉が意外だったのか、弾かれるようにマーセルは顔を上げた。
そして、その瞬間――くらりと眩暈を感じ、身体が揺れる。
目を開けると『わたくし』の姿が見える。どうやらまた――トレードされたみたいね。
ブレンさまの言った通り、少しの時間だったけれど……自分の身体に戻れたことで、これからのことも、そこに至るまでのことも改めて考えさせられた。
「――わたくしは貴女の身体で、やるべきことをやるわ」
「……カミラさま……。私、私……がんばって、彼の隣にいられるように……」
ふるりと身体を震わせて、マーセルは首を横に振った。ただ、固い決意を宿した瞳で、わたくしを見る。
「――私は、私のやり方で、彼を支えたい」
「……支えるのは良いけれど、間違ったほうへ行かせないようにね?」
どうやって支えるつもりなのかわからないけれど、彼女の決意は固そうだ。
いつまで経っても馬車にこない『カミラ』を探しにきた護衛が、彼女を連れていく。
残されたわたくしたちは寮の自室に戻り、それぞれの時間を過ごした。
マティス殿下に会う時間よりも、勉強のほうが忙しかったし……互いに愛し愛される努力をしてこなかったのだから、ある意味当然の結果なのかもしれない。
もちろん、そう簡単に許されることではないけれど。
「……強くなりなさい、マーセル。マティス殿下の傍にいたいと、思うのなら」
その言葉が意外だったのか、弾かれるようにマーセルは顔を上げた。
そして、その瞬間――くらりと眩暈を感じ、身体が揺れる。
目を開けると『わたくし』の姿が見える。どうやらまた――トレードされたみたいね。
ブレンさまの言った通り、少しの時間だったけれど……自分の身体に戻れたことで、これからのことも、そこに至るまでのことも改めて考えさせられた。
「――わたくしは貴女の身体で、やるべきことをやるわ」
「……カミラさま……。私、私……がんばって、彼の隣にいられるように……」
ふるりと身体を震わせて、マーセルは首を横に振った。ただ、固い決意を宿した瞳で、わたくしを見る。
「――私は、私のやり方で、彼を支えたい」
「……支えるのは良いけれど、間違ったほうへ行かせないようにね?」
どうやって支えるつもりなのかわからないけれど、彼女の決意は固そうだ。
いつまで経っても馬車にこない『カミラ』を探しにきた護衛が、彼女を連れていく。
残されたわたくしたちは寮の自室に戻り、それぞれの時間を過ごした。