【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
お父さまお母さまも……お兄さまも。血の繋がらないわたくしをここまで育ててくださったことには感謝しているけれど、わたくしはもう、公爵家に都合の良い人形になるつもりはないの。
まずはしっかりと、『マーセル』の評判を上げていかないとね。
……それにしても、本当に授業が進まないわね、これでは……
ガヤガヤと賑わっているクラスメイトたちを眺めていると、がらりと教室の扉を開いた。
「こんなにざわついて何事ですか。今は授業中でしてよ?」
パン、と扇子を手のひらに打ち込む女性――マナーを教えるために派遣されたルグラン公爵夫人。彼女は陛下の妹だ。
一昔前、戦果をあげたクレメント・ルグラン公爵に嫁いだ。その後、三人の子どもを産み、現在ではマナーを教える派遣教師の一人として、この学園にきている。
「ど、どうしてルグラン公爵夫人がここに?」
「抜き打ちテストです。まったく、あなた方はこの学園でいったいなにをしているのですか」
ツカツカと教室を歩き、一人一人に言い聞かせるように言葉を発する。まったくをもってその通り。
わたくちたちは学ぶために学園にきているのであって、彼らのどちらが勝つかどうかで盛り上がるためじゃない。
まずはしっかりと、『マーセル』の評判を上げていかないとね。
……それにしても、本当に授業が進まないわね、これでは……
ガヤガヤと賑わっているクラスメイトたちを眺めていると、がらりと教室の扉を開いた。
「こんなにざわついて何事ですか。今は授業中でしてよ?」
パン、と扇子を手のひらに打ち込む女性――マナーを教えるために派遣されたルグラン公爵夫人。彼女は陛下の妹だ。
一昔前、戦果をあげたクレメント・ルグラン公爵に嫁いだ。その後、三人の子どもを産み、現在ではマナーを教える派遣教師の一人として、この学園にきている。
「ど、どうしてルグラン公爵夫人がここに?」
「抜き打ちテストです。まったく、あなた方はこの学園でいったいなにをしているのですか」
ツカツカと教室を歩き、一人一人に言い聞かせるように言葉を発する。まったくをもってその通り。
わたくちたちは学ぶために学園にきているのであって、彼らのどちらが勝つかどうかで盛り上がるためじゃない。