【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
「……ああ、なるほど。ちょっと失礼」
レグルスさまの声が聞こえる。カタンと立ち上がり、歩く音。そして、わたくしの肩に手を置いて「そのまま」と真剣な声色でささやかれ、頬に熱が集まってしまう。
肩に置かれた手が、温かい。……いえ、どんどん温かみを増していく。
そして、その温かみがどんどんと心臓のほうに向かっている。
とん、と優しい温かさが当たるような、そんな感覚。
当たった場所から、なにかを引っ張り出されるような――……
「いくよ」
「え?」
短い言葉とともに、わたくしの身体からなにかが溢れる感覚がした。
目を開けてみると、身体が淡く光っていて、思わず目を丸くしてしまう。
ぱさり、となにかが落ちる音が聞こえてそちらに顔を向けると、刺繍を取りにいっていたオリヴィエさまが、信じられないものを見たとばかりに目を大きく見開いていた。
「……神聖力……? どうして、カミラさまが、その力を……?」
困惑するように声を震わせるオリヴィエさま。その瞳には確かに『恐怖』が見えた。
「オリヴィエ……」
「あなた……、どうして、カミラさまが神聖力を持っているの? あれは、あの力は……」
「すみません、神聖力とはなんですか?」
それまで黙っていたクロエが挙手して、首をかしげて問う。その問いに、オリヴィエさまは我に返ったみたいで、手のひらで目元を覆い、ゆっくりと深呼吸を繰り返す。
「神聖力とは――わたくしの家系に伝わる、力なのです」
「……家系の、力?」
レグルスさまの声が聞こえる。カタンと立ち上がり、歩く音。そして、わたくしの肩に手を置いて「そのまま」と真剣な声色でささやかれ、頬に熱が集まってしまう。
肩に置かれた手が、温かい。……いえ、どんどん温かみを増していく。
そして、その温かみがどんどんと心臓のほうに向かっている。
とん、と優しい温かさが当たるような、そんな感覚。
当たった場所から、なにかを引っ張り出されるような――……
「いくよ」
「え?」
短い言葉とともに、わたくしの身体からなにかが溢れる感覚がした。
目を開けてみると、身体が淡く光っていて、思わず目を丸くしてしまう。
ぱさり、となにかが落ちる音が聞こえてそちらに顔を向けると、刺繍を取りにいっていたオリヴィエさまが、信じられないものを見たとばかりに目を大きく見開いていた。
「……神聖力……? どうして、カミラさまが、その力を……?」
困惑するように声を震わせるオリヴィエさま。その瞳には確かに『恐怖』が見えた。
「オリヴィエ……」
「あなた……、どうして、カミラさまが神聖力を持っているの? あれは、あの力は……」
「すみません、神聖力とはなんですか?」
それまで黙っていたクロエが挙手して、首をかしげて問う。その問いに、オリヴィエさまは我に返ったみたいで、手のひらで目元を覆い、ゆっくりと深呼吸を繰り返す。
「神聖力とは――わたくしの家系に伝わる、力なのです」
「……家系の、力?」