【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
オリヴィエさまはこくりとうなずき、目元から手を離すとふらふらとした足取りでノランさまに近付く。ノランさまが彼女の手を取ると、マーセルとわたくしを交互に見て眉を下げて彼を睨みつけた。
「――わたくしの家系は代々、神殿で暮らしていたのです。神聖力を持っているから、信徒のためにその力を使うため……。神聖力を持つ人は決まっておらず、わたくしに宿る神聖力は少ないものだったので、神殿よりは王都で暮らしたほうが良いだろうという両親の勧めで学園に入学しました」
淡々とした口調で語り始めるオリヴィエさまに、わたくしたちは顔を見合わせた。彼女はさらに言葉を続ける。
「学園に入学し、一度は殿下――今では陛下、ですわね。と、恋仲になったこともありました。ですが、わたくしは男爵の娘。身分が釣り合わないから、彼のもとを去ったのです。……きっぱりと諦めて、ノランさまと結婚して子を授かり、その子を大切に育てていました。なのになぜ、マーセルではなく、カミラさまに神聖力が宿っているのですか……?」
ふるふると肩を震わせる。彼女はいったい、どんな感情を持っているのかしら……?
「――わたくしの家系は代々、神殿で暮らしていたのです。神聖力を持っているから、信徒のためにその力を使うため……。神聖力を持つ人は決まっておらず、わたくしに宿る神聖力は少ないものだったので、神殿よりは王都で暮らしたほうが良いだろうという両親の勧めで学園に入学しました」
淡々とした口調で語り始めるオリヴィエさまに、わたくしたちは顔を見合わせた。彼女はさらに言葉を続ける。
「学園に入学し、一度は殿下――今では陛下、ですわね。と、恋仲になったこともありました。ですが、わたくしは男爵の娘。身分が釣り合わないから、彼のもとを去ったのです。……きっぱりと諦めて、ノランさまと結婚して子を授かり、その子を大切に育てていました。なのになぜ、マーセルではなく、カミラさまに神聖力が宿っているのですか……?」
ふるふると肩を震わせる。彼女はいったい、どんな感情を持っているのかしら……?