【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
家族に愛されたかったわたくしは、もういない。
マーセルの身体に入り、彼女として過ごすことでわたくしの心はもう固まったのよ。
ベネット公爵家の人々から愛されることは、もう望まないということを。
「カミラ!」
「お兄さまだって、本当はマーセルを可愛がりたいのでしょう? そうですわよね、マーセルは本当の妹ですもの。偽物のわたくしと違って」
目元を細めてお兄さまを睨みつける。彼の瞳は揺れていた。
なぜ、動揺するのかしら。ベネット公爵家の人たちは、ずっとわたくしのことを『家族』と認めていなかったのに。
「――ッ」
立ち上がったお母さまが、わたくしに手を上げようとしているのが見えた。すっと目を閉じて衝撃を待つ。
――でも、いつまで経っても衝撃はこなかった。
そっと目を開けると、レグルスさまがお母さまの手首を掴んでいるのが見え、目を大きく見開く。
「家族に対しても、他人に対しても行うことではありませんよね。それとも、この国ではこうやって子どもを育てるのですか?」
マーセルの身体に入り、彼女として過ごすことでわたくしの心はもう固まったのよ。
ベネット公爵家の人々から愛されることは、もう望まないということを。
「カミラ!」
「お兄さまだって、本当はマーセルを可愛がりたいのでしょう? そうですわよね、マーセルは本当の妹ですもの。偽物のわたくしと違って」
目元を細めてお兄さまを睨みつける。彼の瞳は揺れていた。
なぜ、動揺するのかしら。ベネット公爵家の人たちは、ずっとわたくしのことを『家族』と認めていなかったのに。
「――ッ」
立ち上がったお母さまが、わたくしに手を上げようとしているのが見えた。すっと目を閉じて衝撃を待つ。
――でも、いつまで経っても衝撃はこなかった。
そっと目を開けると、レグルスさまがお母さまの手首を掴んでいるのが見え、目を大きく見開く。
「家族に対しても、他人に対しても行うことではありませんよね。それとも、この国ではこうやって子どもを育てるのですか?」