【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
「あら、これは珍しいことがあること。あなたが図書室で勉強をしているなんて。殿下に媚びることはもうやめましたの?」
とある女学生がわたくしに……というか、マーセルに声をかけてきた。顔を上げると、意地悪そうに目元を吊り上げて、口角を上げる。
「図書室で私語は厳禁ですわよ」
彼女は確か伯爵家の令嬢。男爵家の令嬢であるマーセルよりも身分は上だから、無視をするわけにもいかないので、それだけ口にした。
すると、そのことにイラついたのか、バンっと大きな音を立てて机を叩き「なんですの、その態度は!」と声を荒げる。
図書室にいる人たちが、迷惑そうにわたくしたちを見る。これでは、静かに勉強ができないものね。
「おいおい、なんの騒ぎだ?」
「あ……いえ。ただこの者が生意気なことを言うので、正して差しあげようと」
割って入ってきたのは、恐らく図書室の当番。どこかで見た覚えがあるのだけど……どこだったかしら。
褐色の肌に薄い金髪……深海を思わせる青色の瞳。そういえば、騎士学科には留学生がいると話題になっていた。
「……ん? なんかずいぶん面白いことになってないか、きみ」
「あら、わかりまして?」
すぅっと目元を細めてわたくしを見る彼は、面白いものを見つけたかのように微笑む。
「な、なんなんですの!」
「はーい、図書室は静かにお使いくださーい」
彼はわたくしに絡んできた伯爵家の令嬢を、図書室から追い出す。
とある女学生がわたくしに……というか、マーセルに声をかけてきた。顔を上げると、意地悪そうに目元を吊り上げて、口角を上げる。
「図書室で私語は厳禁ですわよ」
彼女は確か伯爵家の令嬢。男爵家の令嬢であるマーセルよりも身分は上だから、無視をするわけにもいかないので、それだけ口にした。
すると、そのことにイラついたのか、バンっと大きな音を立てて机を叩き「なんですの、その態度は!」と声を荒げる。
図書室にいる人たちが、迷惑そうにわたくしたちを見る。これでは、静かに勉強ができないものね。
「おいおい、なんの騒ぎだ?」
「あ……いえ。ただこの者が生意気なことを言うので、正して差しあげようと」
割って入ってきたのは、恐らく図書室の当番。どこかで見た覚えがあるのだけど……どこだったかしら。
褐色の肌に薄い金髪……深海を思わせる青色の瞳。そういえば、騎士学科には留学生がいると話題になっていた。
「……ん? なんかずいぶん面白いことになってないか、きみ」
「あら、わかりまして?」
すぅっと目元を細めてわたくしを見る彼は、面白いものを見つけたかのように微笑む。
「な、なんなんですの!」
「はーい、図書室は静かにお使いくださーい」
彼はわたくしに絡んできた伯爵家の令嬢を、図書室から追い出す。