【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
わたくしは立ち上がり、「お騒がせしました、申し訳ありません」と謝った。その姿を見て、図書室にいた人たちは、興味を失ったかのように顔をそらす。……当然の反応よね。
読んでいた本を本棚に戻して、図書室から出ていこうとすると、戻ってきた彼に呼び止められた。
「なあ、ちょっと話せないか?」
「あなたは当番でしょう?」
「じゃあ、明日にでも。俺は騎士学科のレグルス。きみは?」
「……マーセル」
「それじゃあ、マーセル。また明日」
ぱちんとウインクをして、レグルスさまは手を振った。
レグルス……どこかで聞いた名前だわ。どこだったかしら。
図書室をあとにして、自室に戻り制服を脱いでハンガーにかける。部屋着に着替えてベッドに座り、彼のことを思い出そうと目を閉じて腕を組む。
レグルス、レグルス、レグルス……。……あ。
この国からかなり南の国、リンブルグの王太子。『カミラ』も一度だけ会ったことがある。そう、確か数年前に……ふふ、懐かしいわね。
思わず笑みを浮かべると、なんだか一気に疲れたわ。
マーセルがここまで嫌われているとは思わなかった。学科が違うと会うこともないし、こんなふうにトレードされない限り、知ることはなかったと思う。
……彼女、今日、学園に登校できたのかしらね?
読んでいた本を本棚に戻して、図書室から出ていこうとすると、戻ってきた彼に呼び止められた。
「なあ、ちょっと話せないか?」
「あなたは当番でしょう?」
「じゃあ、明日にでも。俺は騎士学科のレグルス。きみは?」
「……マーセル」
「それじゃあ、マーセル。また明日」
ぱちんとウインクをして、レグルスさまは手を振った。
レグルス……どこかで聞いた名前だわ。どこだったかしら。
図書室をあとにして、自室に戻り制服を脱いでハンガーにかける。部屋着に着替えてベッドに座り、彼のことを思い出そうと目を閉じて腕を組む。
レグルス、レグルス、レグルス……。……あ。
この国からかなり南の国、リンブルグの王太子。『カミラ』も一度だけ会ったことがある。そう、確か数年前に……ふふ、懐かしいわね。
思わず笑みを浮かべると、なんだか一気に疲れたわ。
マーセルがここまで嫌われているとは思わなかった。学科が違うと会うこともないし、こんなふうにトレードされない限り、知ることはなかったと思う。
……彼女、今日、学園に登校できたのかしらね?