【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
呆れたような口調だった。
「私は孤児院で、そんな子どもたちを見たことありますよ。ある人はショックを受けて立ち直れず、子どものままでいようとしたし、ある人は大人でも止めるのが難しいくらい暴れていました。本人たちは、そんなことしたくないのにね」
眉間に皺をくっきりと刻んで、クロエは息を吐いた。……彼女は孤児院で暮らしていたから、いろいろな子どもたちを見てきたのね。そして、その中にはわたくしたちと同じように入れ替えられた子どもたちがいたのでしょう。
「親の都合を、子どもに押し付けないでくださいよ。きちんとオリヴィエさまに話して、借金をどうするか決めるほうが先だったと思います」
きれいごとかもしれませんが、と付け足してから、クロエは肩をすくめた。
「……そう、だな。そうだった。……なぜ、彼女にすべて伝えなかったのだろう……」
「そういう余裕がなかったからではありませんかー?」
ブレンさまがのんびりとした口調で微笑む。彼は目を細めて真っ直ぐにカースティン男爵を見て、人差し指を立ててくるくると回す。
「精神状態がギリギリのときに、提案されたでしょうからねぇ」
「この国の陛下、怖いなぁ」
しみじみとした口調で言葉を交えるレグルスさまとブレンさまに、わたくしたちは口を閉ざした。
「私は孤児院で、そんな子どもたちを見たことありますよ。ある人はショックを受けて立ち直れず、子どものままでいようとしたし、ある人は大人でも止めるのが難しいくらい暴れていました。本人たちは、そんなことしたくないのにね」
眉間に皺をくっきりと刻んで、クロエは息を吐いた。……彼女は孤児院で暮らしていたから、いろいろな子どもたちを見てきたのね。そして、その中にはわたくしたちと同じように入れ替えられた子どもたちがいたのでしょう。
「親の都合を、子どもに押し付けないでくださいよ。きちんとオリヴィエさまに話して、借金をどうするか決めるほうが先だったと思います」
きれいごとかもしれませんが、と付け足してから、クロエは肩をすくめた。
「……そう、だな。そうだった。……なぜ、彼女にすべて伝えなかったのだろう……」
「そういう余裕がなかったからではありませんかー?」
ブレンさまがのんびりとした口調で微笑む。彼は目を細めて真っ直ぐにカースティン男爵を見て、人差し指を立ててくるくると回す。
「精神状態がギリギリのときに、提案されたでしょうからねぇ」
「この国の陛下、怖いなぁ」
しみじみとした口調で言葉を交えるレグルスさまとブレンさまに、わたくしたちは口を閉ざした。