【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
ひそひそと会話を交わすわたくしたち。辺りを見渡すと、みんなの瞳がギラギラとしていて、思わず両肩を上げる。……学生たちだけではなく、保護者たちまで賭けをするなんて、少し驚いてしまったわ。
「……ねぇ、マーセル。あなたはどちらが勝つと思う?」
「私の気持ちとしては、マティス殿下に勝ってほしいです。……ただ、レグルスさまの実力を知らないので、なんとも言えませんね……」
パーティー会場の真ん中に、レグルスさまとマティス殿下が並ぶ。
彼らを囲うように円状になるわたくしたち。
広いスペースで向かい合う二人。
「留学生と我が息子の一騎打ちか。それは面白そうだ」
上のほうから声が聞こえた。見上げると、この国の王であるグラエル陛下がにんまりとした表情を浮かべているのが見えた。
視線に気付いたのか、わたくしに視線を向けているような気がする。
「カミラさま?」
「……いえ、なんでもありませんわ」
グラエル陛下から視線を外し、レグルスさまを見つめる。心配そうなマーセルには、緩やかに首を横に振った。
「クロエがこの場にいないことが、残念ね」
「貴族だけってケチですよねー」
「ブレンさま! 今までどちらに?」
「美味しそうな料理が並んでいたので、食べていましたー」
満足そうにお腹を擦るブレンさまに、わたくしとマーセルは顔を見合わせてしまった。今から一騎打ちが始まるのに、ブレンさまは普段通りね。
「……ねぇ、マーセル。あなたはどちらが勝つと思う?」
「私の気持ちとしては、マティス殿下に勝ってほしいです。……ただ、レグルスさまの実力を知らないので、なんとも言えませんね……」
パーティー会場の真ん中に、レグルスさまとマティス殿下が並ぶ。
彼らを囲うように円状になるわたくしたち。
広いスペースで向かい合う二人。
「留学生と我が息子の一騎打ちか。それは面白そうだ」
上のほうから声が聞こえた。見上げると、この国の王であるグラエル陛下がにんまりとした表情を浮かべているのが見えた。
視線に気付いたのか、わたくしに視線を向けているような気がする。
「カミラさま?」
「……いえ、なんでもありませんわ」
グラエル陛下から視線を外し、レグルスさまを見つめる。心配そうなマーセルには、緩やかに首を横に振った。
「クロエがこの場にいないことが、残念ね」
「貴族だけってケチですよねー」
「ブレンさま! 今までどちらに?」
「美味しそうな料理が並んでいたので、食べていましたー」
満足そうにお腹を擦るブレンさまに、わたくしとマーセルは顔を見合わせてしまった。今から一騎打ちが始まるのに、ブレンさまは普段通りね。