【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
一騎打ち。
「お手柔らかに」
「こちらこそ」
レグルスさまがにっと白い歯を見せ、マティス殿下がぴくりと眉を跳ね上げる。
この一騎打ちのジャッジをするのは、騎士学科の先生だ。先生はすっと手を上げて「互いに正々堂々戦うように」と言葉を紡いでから、
「始め!」
手刀するように右手を真っ直ぐに落とす。戦いの合図が出ると、二人は鞘から剣を抜いた。
そして、互いの出方をうかがうように、動かない。
ピンと張った糸のような緊張感に、思わず息をするのも忘れてしまう。
先に動いたのは、マティス殿下だった。
勢いよくレグルスさまに向かっていく。キィン、と剣と剣のぶつかる音が、パーティー会場に響く。
ぐぐぐ、と互いに譲らない。
「あ、始まりそうですねー」
「え?」
ブレンさまが目元を細めてつぶやいた。彼はじっとレグルスさまを見つめている。
「くっ」
マティス殿下の声に、そちらを見るとレグルスさまに押し負けたのか苦しげな表情を浮かべていた。
「今度は、こちらから」
レグルスさまがそう宣言すると、攻撃を仕掛けた。それも、何度も。
マティス殿下は避けるだけで精一杯のようだ。……それにしても、レグルスさま、すごいわ。
攻撃の予想ができない。訓練を受けている人だと、その通りになりやすいと聞いたことはあるけれど、彼の攻撃にパターンはなく、ギリギリで避けているマティス殿下もすごいと思ってしまう。
マティス殿下、本当に実力者だったのね。
「こちらこそ」
レグルスさまがにっと白い歯を見せ、マティス殿下がぴくりと眉を跳ね上げる。
この一騎打ちのジャッジをするのは、騎士学科の先生だ。先生はすっと手を上げて「互いに正々堂々戦うように」と言葉を紡いでから、
「始め!」
手刀するように右手を真っ直ぐに落とす。戦いの合図が出ると、二人は鞘から剣を抜いた。
そして、互いの出方をうかがうように、動かない。
ピンと張った糸のような緊張感に、思わず息をするのも忘れてしまう。
先に動いたのは、マティス殿下だった。
勢いよくレグルスさまに向かっていく。キィン、と剣と剣のぶつかる音が、パーティー会場に響く。
ぐぐぐ、と互いに譲らない。
「あ、始まりそうですねー」
「え?」
ブレンさまが目元を細めてつぶやいた。彼はじっとレグルスさまを見つめている。
「くっ」
マティス殿下の声に、そちらを見るとレグルスさまに押し負けたのか苦しげな表情を浮かべていた。
「今度は、こちらから」
レグルスさまがそう宣言すると、攻撃を仕掛けた。それも、何度も。
マティス殿下は避けるだけで精一杯のようだ。……それにしても、レグルスさま、すごいわ。
攻撃の予想ができない。訓練を受けている人だと、その通りになりやすいと聞いたことはあるけれど、彼の攻撃にパターンはなく、ギリギリで避けているマティス殿下もすごいと思ってしまう。
マティス殿下、本当に実力者だったのね。