【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
でも――レグルスさまはそれ以上に見えるわ。避けるだけに精一杯なマティス殿下は、体幹がブレてそのうちバランスを崩しそうだけど、レグルスさまは逆に見える。
「体幹はレグルスさまのほうが良さそうね」
「大事ですからね、体幹。そして思ったよりもマティス殿下もやりますねぇ」
しみじみとブレンさまが口にするから、くすりと笑ってしまった。
「リンブルグで負けなし、というのは本当のようですね」
「レグルスさまの強みは、それだけではありませんよー」
「え?」
キィィン! と金属がぶつかり合う音に、二人に視線を戻す。
少し汗がにじんでいるマティス殿下と、少しも汗をかいていないレグルスさま。
ちなみになぜわたくしたちが、彼らの姿と声をハッキリ観戦できるかというと、ブレンさまの魔法のおかげだ。
「……マティスさま」
はらはらとしたように、胸元で両手を組んでマティス殿下を見つめるマーセル。彼女の目には、きっとマティス殿下しか映っていない。
「どうか、怪我をしませんように……」
祈るような言葉に、わたくしも同じことを思った。
戦いはまだ続いている。どんどんとレグルスさまの攻撃のスピードが上がっているような気がして、ブレンさまを見上げる。
「大丈夫ですよ、ちょっとしたアクシデントはあるかもしれませんけれど」
「アクシデント?」
ブレンさまのどこか確信めいた言葉に、思わず眉間に皺を刻む。レグルスさま、いったいなにをしようとしているの……?
胸の奥に不安を感じながら、白熱する戦いをじっと見つめた。
「体幹はレグルスさまのほうが良さそうね」
「大事ですからね、体幹。そして思ったよりもマティス殿下もやりますねぇ」
しみじみとブレンさまが口にするから、くすりと笑ってしまった。
「リンブルグで負けなし、というのは本当のようですね」
「レグルスさまの強みは、それだけではありませんよー」
「え?」
キィィン! と金属がぶつかり合う音に、二人に視線を戻す。
少し汗がにじんでいるマティス殿下と、少しも汗をかいていないレグルスさま。
ちなみになぜわたくしたちが、彼らの姿と声をハッキリ観戦できるかというと、ブレンさまの魔法のおかげだ。
「……マティスさま」
はらはらとしたように、胸元で両手を組んでマティス殿下を見つめるマーセル。彼女の目には、きっとマティス殿下しか映っていない。
「どうか、怪我をしませんように……」
祈るような言葉に、わたくしも同じことを思った。
戦いはまだ続いている。どんどんとレグルスさまの攻撃のスピードが上がっているような気がして、ブレンさまを見上げる。
「大丈夫ですよ、ちょっとしたアクシデントはあるかもしれませんけれど」
「アクシデント?」
ブレンさまのどこか確信めいた言葉に、思わず眉間に皺を刻む。レグルスさま、いったいなにをしようとしているの……?
胸の奥に不安を感じながら、白熱する戦いをじっと見つめた。