【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜

証言。

「――大きくなられましたね、マティスさま」

 遠くからでも、マティス殿下のことが見えたようだ。涙を浮かべながら、ぽつりとつぶやくジェマに、彼はグラエル陛下に声を張り上げる。

「父上! ばあやを……彼女を追い出したのは本当のことですか!?」
「それも証拠がないことだな」
「証拠なら、ありましてよ」

 パーティー会場内に、凛とした声が響いた。

 コツコツと足音を響かせながら現れたのは、エセル王妃だった。……パーティー会場にエセル王妃がいらっしゃったことに、思わず目を見開く。彼女はわたくしたちに視線を向けると、スタスタとこちらに足を進める。

「マティス、歯を食いしばりなさい」
「――え?」

 パシィン! とエセル王妃がマティス殿下の頬を平手打ちした音が響く。

 わたくしは目を(またた)かせてしまった。

「は、母上……?」

 叩かれた右頬に手を添えて、信じられないとばかりに目を瞠るマティス殿下。

「――カミラ、マーセル、あなたたちの入れ替わりが陛下の指示であったことを、わたくしが証言します」
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