【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
こくりとうなずくのを見て、どんな人なのかしらと想像してみたけれど、傭兵学科の人たちってよくわからないのよね。
傭兵ってお金で動く兵士、という感覚なのだけど……
「そう。だから……うん、ダブルデートってことで」
ぱちんとウインクするレグルスさまに、わたくしは思わず笑ってしまった。しっかりとマーセルの部屋の扉の鍵をかけてから、彼と一緒に歩き出す。
「あの、昨日はありがとうございました」
「うん? なにが?」
「いろいろと」
昨日のことを思い出して、少しだけ気分が沈む。少しだけで済んだのは、レグルスさまのおかげだわ。
彼はわたくしが落ち着くまで待っていてくれたし、テキストやノートをきれいにしてくれた恩人でもある。
「俺が好きでしたことだから、気にしなくていいよ」
ふわりと微笑む姿が、とても格好良く見えた。
……マティス殿下のときはどうだったかしら。最初に出会ったときは、ただ単にこの人がわたくしの婚約者なのかと思ったくらいだった。
好きになろうという努力も、好きになってもらう努力も足りなかったのかもしれない。
「ところで、どうして王都に?」
「んー、楽しそうだから?」
そんなことを口にして、彼はわたくしを見た。
もしかして、わたくしを励ますために誘ってくれたのかしら。
一人でいると、気が滅入ると思って? それとも、ただ単に王都を見るために?
どちらにせよ、彼の気遣いだと思うから、なんだかくすぐったい気持ちになった。
傭兵ってお金で動く兵士、という感覚なのだけど……
「そう。だから……うん、ダブルデートってことで」
ぱちんとウインクするレグルスさまに、わたくしは思わず笑ってしまった。しっかりとマーセルの部屋の扉の鍵をかけてから、彼と一緒に歩き出す。
「あの、昨日はありがとうございました」
「うん? なにが?」
「いろいろと」
昨日のことを思い出して、少しだけ気分が沈む。少しだけで済んだのは、レグルスさまのおかげだわ。
彼はわたくしが落ち着くまで待っていてくれたし、テキストやノートをきれいにしてくれた恩人でもある。
「俺が好きでしたことだから、気にしなくていいよ」
ふわりと微笑む姿が、とても格好良く見えた。
……マティス殿下のときはどうだったかしら。最初に出会ったときは、ただ単にこの人がわたくしの婚約者なのかと思ったくらいだった。
好きになろうという努力も、好きになってもらう努力も足りなかったのかもしれない。
「ところで、どうして王都に?」
「んー、楽しそうだから?」
そんなことを口にして、彼はわたくしを見た。
もしかして、わたくしを励ますために誘ってくれたのかしら。
一人でいると、気が滅入ると思って? それとも、ただ単に王都を見るために?
どちらにせよ、彼の気遣いだと思うから、なんだかくすぐったい気持ちになった。