【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
「それがお気に入り?」
「あっ……」
ひょいとわたくしが持っているノートを取って、レグルスさまはスタスタと歩いていってしまった。会計に向かっていることに気付き、彼を追いかけようとしたら、クロエとブレンさまに止められた。
「な、なんで止めるの?」
「言ったでしょう? 今日は『デート』なんですから」
「とことん甘えましょう。か……マーセルさまのことを心配していたんですよ、レグルスさま」
心配していたから奢られましょうって、どういうことなの? わたくしの瞳が揺れたのがわかったのか、クロエは眉を下げて微笑む。
会計を済ませて、きれいにラッピングされたノートをレグルスさまに差し出された。彼を見上げると、「せっかくだから使ってくれよ?」と柔らかくわたくしを見る。視線をクロエに移すと、彼女は小さくうなずいた。
「あ、ありがとうございます。大事に、使いますね」
両手でノートを受け取ると、レグルスさまは嬉しそうに首を縦に振る。
大切に使おう。群青色にキラキラと星のようなきらめきを散りばめた表紙のノート。
ぎゅっとノートを抱きしめるように胸元に寄せると、それを見ていた三人が微笑ましそうにわたくしを見ていた。
不思議ね、家族には感じなかったことを、この人たちから感じるなんて……
こんなに温かい気持ちになれるなんて、わたくしは幸せものだわ。
「あっ……」
ひょいとわたくしが持っているノートを取って、レグルスさまはスタスタと歩いていってしまった。会計に向かっていることに気付き、彼を追いかけようとしたら、クロエとブレンさまに止められた。
「な、なんで止めるの?」
「言ったでしょう? 今日は『デート』なんですから」
「とことん甘えましょう。か……マーセルさまのことを心配していたんですよ、レグルスさま」
心配していたから奢られましょうって、どういうことなの? わたくしの瞳が揺れたのがわかったのか、クロエは眉を下げて微笑む。
会計を済ませて、きれいにラッピングされたノートをレグルスさまに差し出された。彼を見上げると、「せっかくだから使ってくれよ?」と柔らかくわたくしを見る。視線をクロエに移すと、彼女は小さくうなずいた。
「あ、ありがとうございます。大事に、使いますね」
両手でノートを受け取ると、レグルスさまは嬉しそうに首を縦に振る。
大切に使おう。群青色にキラキラと星のようなきらめきを散りばめた表紙のノート。
ぎゅっとノートを抱きしめるように胸元に寄せると、それを見ていた三人が微笑ましそうにわたくしを見ていた。
不思議ね、家族には感じなかったことを、この人たちから感じるなんて……
こんなに温かい気持ちになれるなんて、わたくしは幸せものだわ。