【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
「リンブルグへはどうやって行きますの?」
「途中まで馬車で。あとは、転移魔法か海路かを選べるよ」
「転移魔法か、海路?」
「リンブルグは広いんですよー。王都は海上にあるので、陸路より海上を移動したほうが楽なんです」

 王都が、海上に……海上。海の上? だから海路が……って、あら? リンブルグってそうだったかしら? わたくしが困惑していると、レグルスさまが肩をすくめた。

「ここ一年くらいの出来事だからな、それ。俺が継ぐ頃にはもう少し増えていそうだよな」
「陛下が張り切っちゃってますからねぇ。伯父としては、甥に良いところを見せたいんじゃないですか?」
「優秀な人材はいつでも募集しておかないと、手が回りそうにないな」

 やれやれとばかりに首を横に振るレグルスさま。

「もちろん、一番はきみが俺と婚約してくれることだけど」

 そして急に、そんなに優しいまなざしを向けないでほしいわ……!

 鼓動がバクバクとうるさい。わたくしがなにも言えずにカフェオレを飲むことで誤魔化そうとすると、クロエはわたくしたちを交互に見た。

「あれ、クロエさんはなにも聞いてなかったんですか?」
「レグルスさまに『もしかしたら、カミラ嬢はリンブルグに来てくれるかも』程度にしか聞いてなかったので。ちょっと待ってください、いつの間にそんな仲に?」

 ああ、クロエ。貴女(あなた)、こういう会話も好きなのね。食いつきがすごい。

 ブレンさまはパフェを食べ終わったと思ったら、ガトーショコラを注文した。

 この人の胃は本当にどうなっているのかしら……?
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