【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
 この国の妃候補って、かなりがちがちに教育を進めていくし、マナー講座、お茶会の準備、すべてにおいての教育を受けさせられる。

 わたくしも第一王子の婚約者ということで、そういう教育を受けていた。お母さまからもかなり厳しく躾けられた。……これは、あまり思い出したくないこと。

「本当のわたくしが、公爵令嬢ではなくても、よろしいのですか?」
「大丈夫大丈夫、現王の祖父は踊り子を(めと)ったし」
「踊り子!?」
「一目惚れだって」

 ど、どんな人でも妃になるチャンスがあるってことよね。でも、どうしてわざわざ他国から妃を選んでいるのかしら?

 普通、自国の爵位から選ぶ。それこそ、生まれた瞬間に婚約者が決まっていることも多い。

「リンブルグって、想像以上に穏やかな国……なのですね?」

 これを穏やかの一言で済ませるのは、なにか違う気がしたけれど……わたくしにはその言葉しか浮かばなかったわ。

「穏やかというか……」
「能天気?」
「そもそも他国の血を入れないと濃くなりすぎるし」
「そうするといろいろ……ねぇ?」

 レグルスさまとブレンさまが顔を見合わせてぽんぽんと言葉を()わす。まるでコントを見ている感じだわ。……いえ、本で読んだだけなのだけれど。

 そして、他国から妃を選ぶのは、そういう理由だったのね。あら、そうなるとマティス殿下とマーセルって……深く考えるのはやめましょう。闇だわ。

 まさか、わたくしとマーセルが入れ替わった理由って……それが理由ではないわよね?
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