【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
早速ノートを使いましょう。
寮のマーセルの部屋まで、クロエが送ってくれた。さすがに門限ギリギリだから、最後までエスコートをしようとしてくれたレグルスさまたちを、男子寮に帰した。
残念そうだったけれど……代わりにクロエが念のため、とわたくしと女子寮を歩いてくれた。クロエの部屋も寮にあるみたい。
学生寮ではなく、教師寮らしい。確かもうひとり、マティス殿下の担当医は彼の部屋の近くにいたはず。
部屋に入って椅子に座り、ノートを閉じて誰にも見られないように魔法をかける。ああ、そうだ。マーセルのテキストやノートにも魔法をかけておこう。汚れないように。
せっかくレグルスさまがきれいにしてくれたのだもの。大事に扱わなくちゃ。
「……やることがたくさんあるわね」
一ヶ月後のパーティー。おそらく、マティス殿下はマーセルをエスコートするだろう。
その前にわたくしとマーセルの身体をもとに戻さないと。……マーセルは、ちゃんと調べてくれるかしらね。
そもそも彼女、本当にどうして魔法が使えなくなったのかしら?
わたくしの身体になっても魔法が使えないということは、きっとマーセルの魂そのものになにかしらのロックがかかったと思うのよ。
魔術学科では、魔法の使い方やその在り方を教わっていたから、それを思い出してみる。
『魔法の質は魂によって変化します。良いですか、魂の質とは己の矜持。それぞれ魔法が使えることを誇り、上を目指しなさい』
参考になるような、ならないような。
そもそも、魂の質とは?
大魔法使いの生まれ変わりの魂なら、かなり質が良いということ?
専門家ではないから、よくわからないわ……。生活魔法は誰でも使えるし、攻撃魔法だって練習すれば使えるようになる。
唯一、光属性の魔法だけは素質がなければ使えないらしい。
残念そうだったけれど……代わりにクロエが念のため、とわたくしと女子寮を歩いてくれた。クロエの部屋も寮にあるみたい。
学生寮ではなく、教師寮らしい。確かもうひとり、マティス殿下の担当医は彼の部屋の近くにいたはず。
部屋に入って椅子に座り、ノートを閉じて誰にも見られないように魔法をかける。ああ、そうだ。マーセルのテキストやノートにも魔法をかけておこう。汚れないように。
せっかくレグルスさまがきれいにしてくれたのだもの。大事に扱わなくちゃ。
「……やることがたくさんあるわね」
一ヶ月後のパーティー。おそらく、マティス殿下はマーセルをエスコートするだろう。
その前にわたくしとマーセルの身体をもとに戻さないと。……マーセルは、ちゃんと調べてくれるかしらね。
そもそも彼女、本当にどうして魔法が使えなくなったのかしら?
わたくしの身体になっても魔法が使えないということは、きっとマーセルの魂そのものになにかしらのロックがかかったと思うのよ。
魔術学科では、魔法の使い方やその在り方を教わっていたから、それを思い出してみる。
『魔法の質は魂によって変化します。良いですか、魂の質とは己の矜持。それぞれ魔法が使えることを誇り、上を目指しなさい』
参考になるような、ならないような。
そもそも、魂の質とは?
大魔法使いの生まれ変わりの魂なら、かなり質が良いということ?
専門家ではないから、よくわからないわ……。生活魔法は誰でも使えるし、攻撃魔法だって練習すれば使えるようになる。
唯一、光属性の魔法だけは素質がなければ使えないらしい。