【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
帰り道は誰も喋らず、静かだったけれど……なぜかしら、あまり重々しい雰囲気ではなかったのよね。
公爵邸では、沈黙はかなり重い雰囲気になるのに。
そんなことを考えていると、寮についた。門限ギリギリみたいね。
馬車から降りて、わたくしはレグルスさまとブレンさまに向かい、カーテシーをした。
すると、彼らは驚いたように目を丸くしたけれど、すぐに胸元に手を当てて頭を下げた。二人とも、その動きがとても洗練されていて格好いい。
「今日は楽しい時間をありがとうございました。リンブルグのことを教えていただけて、とても勉強になりましたわ」
「楽しんでもらえたなら、良かった」
「僕たちも楽しかったですよねー」
にこやかに微笑むレグルスさまに、ほのぼのと答えるブレンさま。
騎士学科と傭兵学科、別々の科に入れられたというのに、彼らはあまり……気にしてないように見える。想定済みだったのかしら?
「あの、ブレンさま。クロエのこと、よろしくお願いしますね。わたくしが口を出すことではないと思いますが……彼女は、わたくしの友人ですので」
「か……マーセルさま……」
感極まったようにクロエがわたくしを見た。
そんなクロエに向けて微笑みを浮かべると、そっと彼女の肩に手を置く。
ブレンさまはそれを見て、パチパチと目を瞬かせたあとに、「もちろんです。大切にしますよ」とものすっごく甘い声で言った。
クロエを見ると、顔を真っ赤に染めて、ハッとしたように顔を上げる。
「いや、そもそも、私たち付き合っていませんからッ!」
「時間の問題ではなくて?」
「からかって楽しんでますよね!?」
だって、馬車の中でちらりと様子を見たときに、クロエはちらちらとブレンさまを見ていたから、気になっていないわけではないでしょうし。……なんて、ね。
公爵邸では、沈黙はかなり重い雰囲気になるのに。
そんなことを考えていると、寮についた。門限ギリギリみたいね。
馬車から降りて、わたくしはレグルスさまとブレンさまに向かい、カーテシーをした。
すると、彼らは驚いたように目を丸くしたけれど、すぐに胸元に手を当てて頭を下げた。二人とも、その動きがとても洗練されていて格好いい。
「今日は楽しい時間をありがとうございました。リンブルグのことを教えていただけて、とても勉強になりましたわ」
「楽しんでもらえたなら、良かった」
「僕たちも楽しかったですよねー」
にこやかに微笑むレグルスさまに、ほのぼのと答えるブレンさま。
騎士学科と傭兵学科、別々の科に入れられたというのに、彼らはあまり……気にしてないように見える。想定済みだったのかしら?
「あの、ブレンさま。クロエのこと、よろしくお願いしますね。わたくしが口を出すことではないと思いますが……彼女は、わたくしの友人ですので」
「か……マーセルさま……」
感極まったようにクロエがわたくしを見た。
そんなクロエに向けて微笑みを浮かべると、そっと彼女の肩に手を置く。
ブレンさまはそれを見て、パチパチと目を瞬かせたあとに、「もちろんです。大切にしますよ」とものすっごく甘い声で言った。
クロエを見ると、顔を真っ赤に染めて、ハッとしたように顔を上げる。
「いや、そもそも、私たち付き合っていませんからッ!」
「時間の問題ではなくて?」
「からかって楽しんでますよね!?」
だって、馬車の中でちらりと様子を見たときに、クロエはちらちらとブレンさまを見ていたから、気になっていないわけではないでしょうし。……なんて、ね。