【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
ホテルのディナー。
馬車に乗りこんで、ホテルまで向かう。ホテルの名前を聞いて驚いた。
王室御用達のホテルだったから。よくそんなホテルの予約が取れたな、と感心しながらレグルスさまとブレンさまを見る。すると、レグルスさまはわたくしの疑問に気付いたのか、「留学生の特権」と微笑む。
学園では冷遇されているようだけど、こういう場面では優遇されている……?
いえ、違うわね。きっと、彼なりにわたくしを心配させまいとしてくれているのだろう。
……それに、学園内で話しているだけでも、一気に噂が広がるだろうから、わざわざこうして人数を増やしてくれていると思う。
気遣われているわね、わたくし。
「夕食は食べましたか?」
「いいえ、まだですわ」
「それなら良かった。ディナーもそのホテルに用意されていますから」
あのホテルのディナーかぁ。一度だけ行ったことがある。
そのときはマティス殿下と一緒で、わたくしたちの両親も一緒だった。何歳くらいだったかしら。確か、五歳くらいだったかな。
「別のホテルのほうが良かったですか?」
「あ、いえ……少し、思い出しただけです。あの頃は、よくわかっていなかったなぁって」
あのときの記憶は正直、あまりない。
ただ、わたくしとマティス殿下は黙々とディナーを食べて、大人たちがワイワイと盛り上がっていた。
きっと、マティス殿下はあの頃からわたくしのことを良く思っていなかった……と、そんな気がしてきたわ。
大人が勝手に決めた婚約者だったもの。
貴族というのは、それだけで生き方が制限されるのかもしれないわね……
王室御用達のホテルだったから。よくそんなホテルの予約が取れたな、と感心しながらレグルスさまとブレンさまを見る。すると、レグルスさまはわたくしの疑問に気付いたのか、「留学生の特権」と微笑む。
学園では冷遇されているようだけど、こういう場面では優遇されている……?
いえ、違うわね。きっと、彼なりにわたくしを心配させまいとしてくれているのだろう。
……それに、学園内で話しているだけでも、一気に噂が広がるだろうから、わざわざこうして人数を増やしてくれていると思う。
気遣われているわね、わたくし。
「夕食は食べましたか?」
「いいえ、まだですわ」
「それなら良かった。ディナーもそのホテルに用意されていますから」
あのホテルのディナーかぁ。一度だけ行ったことがある。
そのときはマティス殿下と一緒で、わたくしたちの両親も一緒だった。何歳くらいだったかしら。確か、五歳くらいだったかな。
「別のホテルのほうが良かったですか?」
「あ、いえ……少し、思い出しただけです。あの頃は、よくわかっていなかったなぁって」
あのときの記憶は正直、あまりない。
ただ、わたくしとマティス殿下は黙々とディナーを食べて、大人たちがワイワイと盛り上がっていた。
きっと、マティス殿下はあの頃からわたくしのことを良く思っていなかった……と、そんな気がしてきたわ。
大人が勝手に決めた婚約者だったもの。
貴族というのは、それだけで生き方が制限されるのかもしれないわね……