【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
「行きましょう、か……マーセルさま! 許可をもぎ取ってきました!」
「え? クロエ!?」
「ほら、早く!」
許可って? と尋ねる前に、クロエはわたくしを部屋の外に出して、ぱたんと扉を閉めて鍵をかけた。
そして、わたくしの手を握るとパタパタと寮の裏門に向かって走り出す。
いったいなんの許可をもぎ取ってきたのかしら、と考えて――あ、と思った。
『ホテルはもう取ってあるんだ』
レグルスさまの言葉を思い出す。寮に戻ったときにデートは終わりという感じだったから、冗談だったのかしらと思っていたのだけど……そうではなかったようね。
ただ、あのとき外泊許可をもらっていなかったから、クロエが取りに行ってくれたということなのかしら?
それでも、まだ彼らと……レグルスさまと一緒にいられると思うと、なんだか胸がドキドキとしてきて、不思議な感覚だった。
裏門まで行くと、レグルスさまとブレンさまが馬車の前に立っていた。
そしてレグルスは開口一番、「ごめん、浮かれていて許可取るのを忘れていた」と謝った。浮かれていて? と首をかしげると、ブレンさまがくすくすと笑い越えを上げる。
「レグルスさまね、カミ……マーセル嬢とデートって張り切って用意したのに、肝心の外泊許可を取ってなかったので、慌てて寮に戻ってきたんですよー」
もしかして、あのとき相当焦っていたのかしら? 表に出さないだけで。
そして、わたくしとのデートを、そんなに張り切ってくれるなんて……。人に大切にされた覚えがないから、なんだかすごく胸がいっぱいだわ……
「え? クロエ!?」
「ほら、早く!」
許可って? と尋ねる前に、クロエはわたくしを部屋の外に出して、ぱたんと扉を閉めて鍵をかけた。
そして、わたくしの手を握るとパタパタと寮の裏門に向かって走り出す。
いったいなんの許可をもぎ取ってきたのかしら、と考えて――あ、と思った。
『ホテルはもう取ってあるんだ』
レグルスさまの言葉を思い出す。寮に戻ったときにデートは終わりという感じだったから、冗談だったのかしらと思っていたのだけど……そうではなかったようね。
ただ、あのとき外泊許可をもらっていなかったから、クロエが取りに行ってくれたということなのかしら?
それでも、まだ彼らと……レグルスさまと一緒にいられると思うと、なんだか胸がドキドキとしてきて、不思議な感覚だった。
裏門まで行くと、レグルスさまとブレンさまが馬車の前に立っていた。
そしてレグルスは開口一番、「ごめん、浮かれていて許可取るのを忘れていた」と謝った。浮かれていて? と首をかしげると、ブレンさまがくすくすと笑い越えを上げる。
「レグルスさまね、カミ……マーセル嬢とデートって張り切って用意したのに、肝心の外泊許可を取ってなかったので、慌てて寮に戻ってきたんですよー」
もしかして、あのとき相当焦っていたのかしら? 表に出さないだけで。
そして、わたくしとのデートを、そんなに張り切ってくれるなんて……。人に大切にされた覚えがないから、なんだかすごく胸がいっぱいだわ……