〜Midnight Eden〜 episode3.【夏霞】
『神田の父親があいつの友達と援交していたらしくて、そのせいもあるのか性を売りにしてる女や、それを買う男には特に手厳しい印象があります』
『バディを今後もやっていくためにも、九条も知っておくべきかもしれないな』
三人が座るのは喧騒の店内の最奥の座敷席。テーブル席やカウンター席とも離れているここなら、小声で話す分には話の内容を盗み聞きされる心配もない。
『知っておくべきって何かあるんですか?』
「10年前に埼玉で殺人事件があったの。殺されたのは神田さんの同級生。第一発見者が神田さんだった」
『お前が神田に聞いた父親と援助交際をしていた同級生が、殺された被害者だ。本庁に戻ったら埼玉県警のデータベースで捜査資料を検索してみるといい』
上野の言葉に九条は神妙に頷き、ネギとマヨネーズがたっぷり乗った鶏の唐揚げを口に放った。殺人事件の話題を耳にしても、平常心を保って食事を続けられるメンタルはさすがに警察官だ。
『被疑者は逮捕されたんですか?』
『いや、その件は被疑者死亡で処理された。重要参考人とされた不動産会社の社長も別件で殺されている。社長は女子高校生を殺した同じ日に殺害された』
同じ日に近い距離にある二つの土地で事件が起きること自体は、そう珍しくもない。犯罪多発区域の新宿区や渋谷区では日々、何かしらの犯罪が横行している。
埼玉の二つの事件の特異性は、一件目の事件の重要参考人が、一件目とは明らかに別件の動機で殺害された点にある。
「不動産会社社長の殺人事件は今も未解決。神田さんはそちらの事件とは関わりがないけれど、同級生の死の現場に居合わせた精神的なショックはあるでしょうね」
『そんな話知ると、余計にどうしたらいいのかわからなくなってきました』
低く唸ってグラスの水を飲み干した九条は、また唸りながらチャーハンを頬張る。
ラーメンも餃子もあっという間に綺麗に完食。名残惜しそうにチャーハンを口に運ぶ九条を見つめる上野と真紀の眼差しは暖かい。
「どうもしなくてもいいと思う。普通に接すればいいんだよ」
『神田の内面を理解しろとは言わないが、神田が助けを求めてきた時の一番の味方にはなってやれ。バディは互いに衝突して意見をぶつけ合い、支え合うものだ。お前なら、神田に臆せず物が言えるだろう?』
『国立大首席の相棒に完全に馬鹿にされてますけどね。筋肉バカーって』
警察幹部も一目置く、美夜の経歴や彼女の性格に物怖じしない相棒として選ばれた九条。
美夜も先輩刑事への進言は躊躇しても、九条には遠慮なく意見をぶつけている。バディ結成時よりも美夜と九条のコンビネーションは格段に良くなっていた。
二人の今後の成長を上野も真紀も、いつまでも見守っていたかった。
見守っていけると……思っていた。
『バディを今後もやっていくためにも、九条も知っておくべきかもしれないな』
三人が座るのは喧騒の店内の最奥の座敷席。テーブル席やカウンター席とも離れているここなら、小声で話す分には話の内容を盗み聞きされる心配もない。
『知っておくべきって何かあるんですか?』
「10年前に埼玉で殺人事件があったの。殺されたのは神田さんの同級生。第一発見者が神田さんだった」
『お前が神田に聞いた父親と援助交際をしていた同級生が、殺された被害者だ。本庁に戻ったら埼玉県警のデータベースで捜査資料を検索してみるといい』
上野の言葉に九条は神妙に頷き、ネギとマヨネーズがたっぷり乗った鶏の唐揚げを口に放った。殺人事件の話題を耳にしても、平常心を保って食事を続けられるメンタルはさすがに警察官だ。
『被疑者は逮捕されたんですか?』
『いや、その件は被疑者死亡で処理された。重要参考人とされた不動産会社の社長も別件で殺されている。社長は女子高校生を殺した同じ日に殺害された』
同じ日に近い距離にある二つの土地で事件が起きること自体は、そう珍しくもない。犯罪多発区域の新宿区や渋谷区では日々、何かしらの犯罪が横行している。
埼玉の二つの事件の特異性は、一件目の事件の重要参考人が、一件目とは明らかに別件の動機で殺害された点にある。
「不動産会社社長の殺人事件は今も未解決。神田さんはそちらの事件とは関わりがないけれど、同級生の死の現場に居合わせた精神的なショックはあるでしょうね」
『そんな話知ると、余計にどうしたらいいのかわからなくなってきました』
低く唸ってグラスの水を飲み干した九条は、また唸りながらチャーハンを頬張る。
ラーメンも餃子もあっという間に綺麗に完食。名残惜しそうにチャーハンを口に運ぶ九条を見つめる上野と真紀の眼差しは暖かい。
「どうもしなくてもいいと思う。普通に接すればいいんだよ」
『神田の内面を理解しろとは言わないが、神田が助けを求めてきた時の一番の味方にはなってやれ。バディは互いに衝突して意見をぶつけ合い、支え合うものだ。お前なら、神田に臆せず物が言えるだろう?』
『国立大首席の相棒に完全に馬鹿にされてますけどね。筋肉バカーって』
警察幹部も一目置く、美夜の経歴や彼女の性格に物怖じしない相棒として選ばれた九条。
美夜も先輩刑事への進言は躊躇しても、九条には遠慮なく意見をぶつけている。バディ結成時よりも美夜と九条のコンビネーションは格段に良くなっていた。
二人の今後の成長を上野も真紀も、いつまでも見守っていたかった。
見守っていけると……思っていた。