〜Midnight Eden〜 episode4.【月影】
小柴優奈が集団強姦事件の黒幕だとすれば、いずれ彼女も狙われる。
警戒を呼び掛けたくても優奈への聴取の望みは薄く、本人や事務所に悟られないよう優奈を警護するしか犯行を防ぐ手立てはない。
「莉愛さんは今年の1月頃に帰り道を怖がっていたという証言があります。国本さんは莉愛さんのストーカー被害に心当たりはありませんか?」
莉愛のストーカー被害は、昼間訪れた釣り堀で真紀が桑田から入手した情報だ。
『後を付けられている気がすると相談されたことはあります。僕が家まで送れる日はなるべく車で送迎していましたが、他のタレントの送迎もあると毎日送り迎えもいかなくて……。咲希と二人で帰る日もあったよね?』
「はい。そういえば、莉愛とダンスのレッスンが同じ日は一緒に帰っていたんですけど、スタジオの前で何度か同じ人に出待ちされました」
「顔は覚えてる?」
「莉愛のファンなので顔までは……。そこまでおじさんでもない男の人で、眼鏡をかけていたと思います。花束やぬいぐるみのプレゼントを押し付けてきて、私もひとつ貰いました。だけどあの時のプレゼントって、“アレ”でしたよね?」
最後の一言を咲希は小声で国本に囁いた。国本は咲希に頷いて見せ、溜息の後に口を開く。
『ファンから直に受け取ったプレゼントや手紙は、家に持ち帰る前に事務所に持ってくるように所属タレントに言い付けています。何が仕込まれているかわからないので、まず手紙もプレゼントもスタッフが中身を確認します。莉愛が出待ちで受け取ったプレゼントはテディベアでしたが、クマの瞳の部分にカメラが仕掛けられていました。カメラや盗聴器をぬいぐるみやキーホルダーに仕掛けたプレゼントが最近は多いんです』
プレゼントに隠したカメラや盗聴器で好意を抱く相手の私生活や日常会話を覗き見て快感を得る。行き過ぎたファン心理は犯罪を招く。
芸能人へのストーカー容疑でファンが逮捕される事例は多い。
「莉愛さんがぬいぐるみを自宅に持ち帰っていれば大変な事態になっていましたね」
『本当にその通りです。アイドルの日常生活を盗撮できてしまいますからね。咲希も気を付けるんだよ』
あの社長の下ではさぞ気苦労が絶えないだろう。咲希を連れて応接室を後にする優男のマネージャーの背中は、とてもくたびれていた。
警戒を呼び掛けたくても優奈への聴取の望みは薄く、本人や事務所に悟られないよう優奈を警護するしか犯行を防ぐ手立てはない。
「莉愛さんは今年の1月頃に帰り道を怖がっていたという証言があります。国本さんは莉愛さんのストーカー被害に心当たりはありませんか?」
莉愛のストーカー被害は、昼間訪れた釣り堀で真紀が桑田から入手した情報だ。
『後を付けられている気がすると相談されたことはあります。僕が家まで送れる日はなるべく車で送迎していましたが、他のタレントの送迎もあると毎日送り迎えもいかなくて……。咲希と二人で帰る日もあったよね?』
「はい。そういえば、莉愛とダンスのレッスンが同じ日は一緒に帰っていたんですけど、スタジオの前で何度か同じ人に出待ちされました」
「顔は覚えてる?」
「莉愛のファンなので顔までは……。そこまでおじさんでもない男の人で、眼鏡をかけていたと思います。花束やぬいぐるみのプレゼントを押し付けてきて、私もひとつ貰いました。だけどあの時のプレゼントって、“アレ”でしたよね?」
最後の一言を咲希は小声で国本に囁いた。国本は咲希に頷いて見せ、溜息の後に口を開く。
『ファンから直に受け取ったプレゼントや手紙は、家に持ち帰る前に事務所に持ってくるように所属タレントに言い付けています。何が仕込まれているかわからないので、まず手紙もプレゼントもスタッフが中身を確認します。莉愛が出待ちで受け取ったプレゼントはテディベアでしたが、クマの瞳の部分にカメラが仕掛けられていました。カメラや盗聴器をぬいぐるみやキーホルダーに仕掛けたプレゼントが最近は多いんです』
プレゼントに隠したカメラや盗聴器で好意を抱く相手の私生活や日常会話を覗き見て快感を得る。行き過ぎたファン心理は犯罪を招く。
芸能人へのストーカー容疑でファンが逮捕される事例は多い。
「莉愛さんがぬいぐるみを自宅に持ち帰っていれば大変な事態になっていましたね」
『本当にその通りです。アイドルの日常生活を盗撮できてしまいますからね。咲希も気を付けるんだよ』
あの社長の下ではさぞ気苦労が絶えないだろう。咲希を連れて応接室を後にする優男のマネージャーの背中は、とてもくたびれていた。