〜Midnight Eden〜 episode4.【月影】
雪枝を保護したのが雨が降る前で良かった。雨の街では、いくら傘を所持していても公園に長居はできない。雨宿りに店に入れば補導のリスクは高まる。
『雪枝ちゃんが学校行きたくないと思う理由の俺の予想、聞いてくれる?』
「聞くよ。ひょっとしたら私と同じ予想かもしれない」
『……いじめだよな?』
「十中八九ね。頭は良い子のようだから、ああいう子が学校に行きたくない理由は他に思い当たらない。雪枝ちゃんをいじめてる子が小柴優奈のファンだったのね」
小柴優奈が殺された事件を皮肉る雪枝の口振りには憎悪が隠《こも》っていた。フルリールや優奈に対してではなく、優奈を好きな特定の“ある人”への憎悪だ。
仕組まれた集団強姦とリベンジポルノの悲劇。
望月莉愛も高倉咲希もその場でできる最善の選択をしても、彼女達の選択は正しくはなかった。結果として莉愛は自身を苦しめ、咲希は友達を苦しめた。
最善の選択が最悪の結末を生み出してしまう。
小柴優奈は正しくあれなかった。
何が彼女を闇に誘ったのかはわからない。薬物に魅入られた優奈はクスリに溺れ、男に溺れ、人気のある莉愛への嫉妬に狂って莉愛を陥れた。
『学校のいじめ問題は、よほどの事件でも起きない限り警察は介入できねぇんだよなぁ』
「よほどの事件も起きなくていいよね。学校での出来事は学校で完結してしまうから親も手出しできない領域でもある。難しいね」
正しさを主張する人間は集団から疎《うと》まれやすい。莉愛のリベンジポルノ関連の掲示板でも、掲示板の住民達に真っ向から正論を振りかざす者が現れるたびに、言論の炎は勢いを増した。
正論は時と場合によっては鎮火の水にすらならないことを、正論を語る人間は知らない。正しさしか主張できない人間は、正しくあれない人間の存在を許容しない。
雪枝も正しくあれない人間の存在を許容していなかった。
“正しさ”に潜む真っ暗な落とし穴を少女はまだ、知らないのだろう。
『雪枝ちゃんが学校行きたくないと思う理由の俺の予想、聞いてくれる?』
「聞くよ。ひょっとしたら私と同じ予想かもしれない」
『……いじめだよな?』
「十中八九ね。頭は良い子のようだから、ああいう子が学校に行きたくない理由は他に思い当たらない。雪枝ちゃんをいじめてる子が小柴優奈のファンだったのね」
小柴優奈が殺された事件を皮肉る雪枝の口振りには憎悪が隠《こも》っていた。フルリールや優奈に対してではなく、優奈を好きな特定の“ある人”への憎悪だ。
仕組まれた集団強姦とリベンジポルノの悲劇。
望月莉愛も高倉咲希もその場でできる最善の選択をしても、彼女達の選択は正しくはなかった。結果として莉愛は自身を苦しめ、咲希は友達を苦しめた。
最善の選択が最悪の結末を生み出してしまう。
小柴優奈は正しくあれなかった。
何が彼女を闇に誘ったのかはわからない。薬物に魅入られた優奈はクスリに溺れ、男に溺れ、人気のある莉愛への嫉妬に狂って莉愛を陥れた。
『学校のいじめ問題は、よほどの事件でも起きない限り警察は介入できねぇんだよなぁ』
「よほどの事件も起きなくていいよね。学校での出来事は学校で完結してしまうから親も手出しできない領域でもある。難しいね」
正しさを主張する人間は集団から疎《うと》まれやすい。莉愛のリベンジポルノ関連の掲示板でも、掲示板の住民達に真っ向から正論を振りかざす者が現れるたびに、言論の炎は勢いを増した。
正論は時と場合によっては鎮火の水にすらならないことを、正論を語る人間は知らない。正しさしか主張できない人間は、正しくあれない人間の存在を許容しない。
雪枝も正しくあれない人間の存在を許容していなかった。
“正しさ”に潜む真っ暗な落とし穴を少女はまだ、知らないのだろう。