〜Midnight Eden〜 episode4.【月影】
違法薬物の常習犯だった小柴優奈と繋がりのあった大和には、薬物使用の嫌疑もかけられている。
室内からは薬物の類いは発見できなかったが、身辺警護が決定して美夜がここを訪れるまでの間に、隠し持っていた薬物は処分したのだろう。
いずれは大和にも警察の追及が及ぶ。いつまでも自堕落な生活ができると思ったら大間違いだ。
「優奈は何をネタに莉愛を脅していたの? 心当たりがあるなら話して」
『莉愛には付き合ってる男がいるって言ってた。相手は知らねぇよ』
莉愛の恋人の影はあちらこちらにちらついていても、肝心の素性はいまだ謎に包まれている。
その素性を知る優奈も、莉愛本人もすでに故人。実体のない影はいくら追っても掴めない。
『けど男のことが事務所の社長に知られたらまずいし、莉愛は優奈に逆らえなかった。センターで人気あった莉愛に嫉妬して蹴落とそうとする優奈も性格悪い女だよなぁ』
確かに優奈の行いは善人とは言い難い。でも優奈も、大和にだけは性格が悪いとは言われたくないだろう。
救いようのない男をリビングに放置して美夜は玄関ホールに仁王立つ。ここなら大和と空間を共有する必要はなく、警護と監視の両面で仕事が遂行できる。
家にいる間は大和を外に出さないことが美夜に与えられた任務だ。
マンションの向かいにある賃貸マンションの一室を警察が借り上げた。サポートの九条達の控えの場と美夜が仮眠するための部屋だ。
マンションの出入りはそこから九条達が監視している。不審な動きがあれば、耳に装着したインカムを通じて連絡があるだろう。
現在が23日の19時。日付を跨いだ24日の午前2時の九条と交代する時間まで、気が遠くなる時間が延々と続く。
こんな場所で誕生日を迎えるとは思わなかった。誕生日に特別な思い入れはない美夜でも、この状況で二十八歳は迎えたくない。
24日の夜は会えそうもないと愁に送ったメッセージは、既読もつかず返信も来ない。あの約束自体、愁は忘れているかもしれない。
誕生日の夜を愁と過ごせると少しだけ期待した自分が、少しだけ心を躍らせていた自分が、ただの女になったようで馬鹿みたいで呆れてしまう。
“会いたい”と彼宛に送りそうになったメッセージを削除して、美夜はプライベート用のスマートフォンの電源をオフにした。
刻々と時間は過ぎていく。ボンクラ息子にも多少の気遣いの心は持ち合わせているようで、立ちっぱなしの美夜が座れるようにと玄関ホールまでデスクチェアを運んできた。
室内からは薬物の類いは発見できなかったが、身辺警護が決定して美夜がここを訪れるまでの間に、隠し持っていた薬物は処分したのだろう。
いずれは大和にも警察の追及が及ぶ。いつまでも自堕落な生活ができると思ったら大間違いだ。
「優奈は何をネタに莉愛を脅していたの? 心当たりがあるなら話して」
『莉愛には付き合ってる男がいるって言ってた。相手は知らねぇよ』
莉愛の恋人の影はあちらこちらにちらついていても、肝心の素性はいまだ謎に包まれている。
その素性を知る優奈も、莉愛本人もすでに故人。実体のない影はいくら追っても掴めない。
『けど男のことが事務所の社長に知られたらまずいし、莉愛は優奈に逆らえなかった。センターで人気あった莉愛に嫉妬して蹴落とそうとする優奈も性格悪い女だよなぁ』
確かに優奈の行いは善人とは言い難い。でも優奈も、大和にだけは性格が悪いとは言われたくないだろう。
救いようのない男をリビングに放置して美夜は玄関ホールに仁王立つ。ここなら大和と空間を共有する必要はなく、警護と監視の両面で仕事が遂行できる。
家にいる間は大和を外に出さないことが美夜に与えられた任務だ。
マンションの向かいにある賃貸マンションの一室を警察が借り上げた。サポートの九条達の控えの場と美夜が仮眠するための部屋だ。
マンションの出入りはそこから九条達が監視している。不審な動きがあれば、耳に装着したインカムを通じて連絡があるだろう。
現在が23日の19時。日付を跨いだ24日の午前2時の九条と交代する時間まで、気が遠くなる時間が延々と続く。
こんな場所で誕生日を迎えるとは思わなかった。誕生日に特別な思い入れはない美夜でも、この状況で二十八歳は迎えたくない。
24日の夜は会えそうもないと愁に送ったメッセージは、既読もつかず返信も来ない。あの約束自体、愁は忘れているかもしれない。
誕生日の夜を愁と過ごせると少しだけ期待した自分が、少しだけ心を躍らせていた自分が、ただの女になったようで馬鹿みたいで呆れてしまう。
“会いたい”と彼宛に送りそうになったメッセージを削除して、美夜はプライベート用のスマートフォンの電源をオフにした。
刻々と時間は過ぎていく。ボンクラ息子にも多少の気遣いの心は持ち合わせているようで、立ちっぱなしの美夜が座れるようにと玄関ホールまでデスクチェアを運んできた。