〜Midnight Eden〜 episode4.【月影】
目の前にいるのは人を殺した犯罪者。
人殺しの大きな手が寝そべる美夜の頬をなぞった。
『初心者に二回目はキツい?』
「馬鹿にしないで」
『挿れた時に痛がって泣いたのは誰だよ。ここに泣いた跡が残ってる』
「じゃあ痛くないように気遣ってよ。今はお腹も痛いんだから」
『これでも充分、気遣ってるつもり』
暗闇を流れる煙草の煙がぴたりと止んだ。彼が律儀に携帯灰皿を持ち歩いているのも、今となっては殺人現場に己の痕跡を残さないためとも考えられる。
覆い被さる愁の唇が美夜を侵食した。
彼の口内は煙草を吸った後でも不思議と甘い味がする。愁の煙草が特別甘いのかもしれない。
愁だけを知ったソコが、またとろりと潤ってきた。美夜の下半身が醸し出す情欲の匂いに誘われて、再び肥大した愁の分身がもう一度美夜の中に沈む。
『まだキツイな。痛い?』
「痛い。けど……」
『けど、何?』
「幸せだって……思ってるの。馬鹿みたいに」
『ならもっと、馬鹿になって幸せ感じてろよ』
奥に留まっていた愁自身が馴染んできた頃合いに刻まれる律動で、ベッドが揺れる。
女の海に引きずり込まれた愁は訪れるエクスタシーに艶《なまめ》かしく表情を歪め、快楽に酔った彼の声が美夜の子宮を甘く疼《うず》かせた。
小刻みに揺れ動いていた愁の身体が息を切らせて美夜に折り重なり、交ざる吐息はキスの合図。
ふたりはひとりに、ふたつはひとつに、触れて離れた唇がふたつ。
『いつかお前を殺す。だから俺が殺すまでは誰にも殺されるなよ』
「それは宣戦布告? 愛の告白?」
『どっちがいい?』
破滅しか訪れない恋をした。
破滅が似合う男を愛した。
愛がないなら優しく抱かないで。
このまま傷付けて終わらせてほしい。
「宣戦布告かな」
『物好きな女だ』
汗で湿った広い背中に両腕を絡める。ぎゅっと強く抱いて抱かれて、ゆらゆら揺れるふたつの腰の動きもひとつになった。
互いの名前を囁き愛ながら、原罪の闇に閉じ込められる。
朝にならなくていい。
ずっと、夜でいて。
真夜中の楽園に二人だけで……。
Act3.END
→エピローグに続く
人殺しの大きな手が寝そべる美夜の頬をなぞった。
『初心者に二回目はキツい?』
「馬鹿にしないで」
『挿れた時に痛がって泣いたのは誰だよ。ここに泣いた跡が残ってる』
「じゃあ痛くないように気遣ってよ。今はお腹も痛いんだから」
『これでも充分、気遣ってるつもり』
暗闇を流れる煙草の煙がぴたりと止んだ。彼が律儀に携帯灰皿を持ち歩いているのも、今となっては殺人現場に己の痕跡を残さないためとも考えられる。
覆い被さる愁の唇が美夜を侵食した。
彼の口内は煙草を吸った後でも不思議と甘い味がする。愁の煙草が特別甘いのかもしれない。
愁だけを知ったソコが、またとろりと潤ってきた。美夜の下半身が醸し出す情欲の匂いに誘われて、再び肥大した愁の分身がもう一度美夜の中に沈む。
『まだキツイな。痛い?』
「痛い。けど……」
『けど、何?』
「幸せだって……思ってるの。馬鹿みたいに」
『ならもっと、馬鹿になって幸せ感じてろよ』
奥に留まっていた愁自身が馴染んできた頃合いに刻まれる律動で、ベッドが揺れる。
女の海に引きずり込まれた愁は訪れるエクスタシーに艶《なまめ》かしく表情を歪め、快楽に酔った彼の声が美夜の子宮を甘く疼《うず》かせた。
小刻みに揺れ動いていた愁の身体が息を切らせて美夜に折り重なり、交ざる吐息はキスの合図。
ふたりはひとりに、ふたつはひとつに、触れて離れた唇がふたつ。
『いつかお前を殺す。だから俺が殺すまでは誰にも殺されるなよ』
「それは宣戦布告? 愛の告白?」
『どっちがいい?』
破滅しか訪れない恋をした。
破滅が似合う男を愛した。
愛がないなら優しく抱かないで。
このまま傷付けて終わらせてほしい。
「宣戦布告かな」
『物好きな女だ』
汗で湿った広い背中に両腕を絡める。ぎゅっと強く抱いて抱かれて、ゆらゆら揺れるふたつの腰の動きもひとつになった。
互いの名前を囁き愛ながら、原罪の闇に閉じ込められる。
朝にならなくていい。
ずっと、夜でいて。
真夜中の楽園に二人だけで……。
Act3.END
→エピローグに続く