今夜はきっと眠れない



 テンションが上がりすぎて仕事が手につかず、明日までにやらないといけない仕事があったため、残業になってしまった。

 仕事をなんとか終えたときには、部長と私のふたりきりになっていた。

「お先に失礼します」
 声をかけると、部長はパソコンから顔を上げた。

「俺もちょうど終わったところだ」
 カチカチとマウスをクリックしながら部長が言う。

「飲みに行かないか。契約がとれたお祝いだ」
「え、でも……」

 部長が行くような店だと高そうだ。でも誘ってもらえるなんて、二度とないかも。だけどふたりきりなんて恐れ多すぎる……。どうしたらいいんだろ。

「おごるよ」
「それなら行きます!」
 私の手のひら返しの即答に、部長は軽く笑った。
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