パーフェクト・フィグ



雅俊が電話に出た隣で、
すみれはすいかを口に運び続けた。

冷たくて、甘くて美味しい。

種の少ない部分を選んで、
種が多そうな部分を雅俊側に移動させた。

電話の相手は、松島からだった。

今頃看護師たちとの飲み会を楽しんでいるのだろう。

だが、酔っ払い特有の声量から、
隣にいたすみれにもその会話は駄々洩れだった。


『ちょっと先輩、なんで来てくれないんですか!』

「行くなんて一言も言ってないだろ」

(せき)さん、泣いちゃってるじゃないですか!
 俺が泣かしたんじゃないすよ?先輩っすよ!?』

「誰だよ…」


雅俊がそう言うと、
『ひどーい‼』という女の喚き声。

恐らく、その関という名の看護師だろう。

その背後でも、酔った看護師たちの騒ぐ声が
このすみれのいる場所まで届いている。


『あ!もしかしてすみれ先生と一緒なんすか!?』


松島の言葉に、雅俊の視線がこちらに向いた。

すみれは、フォークを置いて
ティッシュで手を拭くと、
雅俊の右手に向かって身を乗り上げた。


「あ、変わろうか?」

「おい、馬鹿ッ!」

『え、今の…』



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