パーフェクト・フィグ



片手にはオレンジの紙袋を振り、
もう片手にはホットのカフェラテ。

まるで自分へのプレゼントを貰ったかのような
足取りで、すみれは雅俊の一歩先を歩いていた。

雲一つない青空。
秋晴れというのだろう。

涼しい風が向かいからそよいでくる。

いい散歩日和だった。

すみれがあまりに大きく手を振るので、
プレゼント包装されたネクタイが
前後に派手に揺られている。

雅俊はそんな後ろ姿を見つつ、
アイスコーヒーに口をつけた。


「後輩って、誰なの?」

「宮越潤。弟の同期だ」

「あぁ、あの三谷幸喜みたいな」

「百パー違う」

「あれ、あの三谷幸喜みたいな麻酔科医は誰?」

「そんなやついねぇよ」


前から自転車が向かってきたところで、
雅俊はすみれの腕を後ろから引いた。

すみれはよろけつつ振り返った。


「あれ?じゃあ、ジョンレノンみたいな人は?」

「もっといねぇよ」


いや、待てよ。
東郷先生は頑張ればジョンレノンに見えないことも…


突然、すみれの足が止まった。



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