パーフェクト・フィグ



すみれがハートセンターへ着くと、
今日の当直医である心臓外科医の若手が
例の子どもの状態を見ているところだった。


「オペ室はもう上がっていいそうです」


ハートセンターの
これまた若い看護師が言った。

すみれはモニターと血液データを確認して
すぐにオペ室へ上がるよう指示を出した。


「先行って着替えてくる。
 梶木の教授は?」

「え、連絡してません」


若手外科医の言葉に
すみれの動きが止まった。


「…なぜ?」


すみれの澄んだ声が
冷たく響く。


「よっぽどの状態でなければ、
 僕と伊東先生で対応できると
 前もって言われてました」

「…あのじじい」

「え?」

「なんでもない。
 急いでね」


すみれは恨めしそうにしつつも
オペ室へ急いだ。

そりゃあ、いつもなら
自分とオペをする相方が誰であろうが
できないことはない。

だが、今日のすみれの気持ちは早いでいた。


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