パーフェクト・フィグ
ドアの向こうに消えた背中を見届けて、
すみれはエレベーターに乗り込んだ。
それから目を閉じて、
これから手術する子どもの
情報を思い起こした。
幾度となくしてきた手術でも、
一人一人状態は違う。
体型も違えば、
心臓の形も違う。
起こりうるリスクも違う。
頭の中でシミュレーションをして、
エレベーターの音が鳴ったところで
目を開けた。
それからいつものようにすぐ近くの
病院まで全力ダッシュ。
「お腹空いたな…」
帰ったらカレーが待っている。
そう思うと、不思議と
今までにないほどに足が軽かった。
誰かの手料理を食べられるのは
一体いつぶりだろう。
いい隣人を持ったな…
すみれは時折スキップを交えて
ハートセンターへ急いだ。