パーフェクト・フィグ
「重度の病気を持った子どもの親は、
はじめこそ献身的に病院に通い、
常に我が子に寄り添って、
最善の治療を望む」
涙ながらに懇願する
親の姿が思い浮かぶ。
「でも健康で可愛い2人目ができると、
段々と1人目への愛情が薄らいで、
やがて病院に来なくなる…」
まるで人形を見るような眼差しの
親の表情が思い浮かぶ。
「下の子にお金と時間がかかるようになると、
上の子への治療を望まなくなる。
そんな家族を、何度も見てきた…」
すみれの小さな声が、
薄暗いホールに消えていく。
「向こうにいたときに、
交通外傷で心タンポナーデになった
子どもが運ばれてきた」
忘れもしない。
運ばれてきたその子の姿も、
連れ添ってきた両親の様子も。