パーフェクト・フィグ
すみれはようやく前倒しにしていた
小さな体を起こして言った。
「ねぇ、これなに?」
「いちじく」
「これが?
どこにもいちじく君が見えないけど」
「まだそこに植えたばかりだからな。
来年の今頃には実るんじゃないか」
「家庭菜園とかするタイプなんだ」
「…ぁ」
フライパンに豚肉を入れる手が滑った。
すみれはもう一度いちじくの葉に
顔を近づけた。
それからまるで
ペットを見るかのような眼差しで言った。
「私、アメリカにいたときのあだ名、
この子だったよ」
「あだ名がいちじくか?」
雅俊が鼻で笑うも、
すみれは「うん」と冷静に答えた。
「いちじくはフィグ。
パーフェクトフィグって、呼ばれてた」