青の葉の、向かう明日。
久しぶりに海が見たくなった。

幼い頃は夏休みになると、父の運転する車に乗って家族で良くこの海岸に遊びに来ていた。

引っ込み思案というかコミュ力が妹の1万分の1くらいしかない根暗な子どもで、例の特性もあって習い事も続かないからコミュニティを広げることも出来ず、あたしの遊び相手は妹しかいなかった。

同じクラスに話せる人はいても友達と呼べるほどの関係にはならないままあたしは小中学生時代を終えた。

だから、有を失った今、あたしには何もない。

ほんと、もう…

もう、嫌だよ。

ずっと心のどこかで思っていた。

考えていた。

終わらせるなら、今だって。

何度も頭に浮かんでは消えることのなかった気持ちがふつふつとあたしを駆り立てる。

あたしは一歩二歩と海に近づいていく。

産まれた時から今まであたしは、

ずっとひとりぼっちで、

苦しくて、

辛くて、

でも誰にも何も言えなくて。

ダメな子でごめんなさい、

何も持たずに産まれて来てごめんなさい、

そう心の中で謝り続けて来た。

こんなあたしでも誰かを幸せに出来るかもしれない。

あたしはシナリオを書いた。

自分とどこか似ていて

1番幸せになってほしいと心から願える

そんな人がハッピーエンドを迎えられるシナリオを。

でも…それは選ばれなかった。

あたしの作品は途中であらゆる干渉を受けて歪み、あたしの望む通りに進まなかった。

ならもうこれ以上どうにも出来ないよ。

なんもない中から絞り出して、

運命に差し出すものは差し出して

もうなんも無いんだよ。

最後に差し出すとしたら、

この身しかないじゃん。


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