青の葉の、向かう明日。
プロローグ
卒業式の日から1年が経ち、あたしの同級生たちはもう大学2年生になるのか。

時の流れとは恐ろしいものだ。

気がついたらおばさんになっていそう。

まだおばさんになる気はないので、あたしは晴れてピカピカの大学1年生になった。


ーーピロン。


スマホを見ると有からメッセージが来ていた。

相変わらず有と江波くんはラブラブらしく、2人とあと大学で仲良くなった子を何人か誘って、あたしの上京歓迎会を行なってくれるらしい。

ほんと有は優しい。

こんなあたしを許してくれたんだから。

あれからはもちろん喧嘩のひとつもせず、たまにあたしが東京に赴いて一緒に遊んだり大学の話を聞かせてもらっていた。

今度はそれが自分のこととして感じられるというただそれだけのこと。

さてと、行きますか。

あたしは校門をくぐった。

新入生歓迎会の会場へ続く道はサークルの勧誘で大勢の人がごった返している。

ったく、これじゃあ会場がどこだか分からないじゃん。

あぁ、なんか人多すぎて酔いそう…。

例の体質のせいで受験もやっとこさだったというのに、東京に来て人混みも苦手だと分かってしまい、もうどうしたらいいか分かんないよ。

そういう時、道標があればいいのにって思う。

あっちにもこっちにも道が開かれていたら迷うから。

まぁ、結局は自分の直感を信じて歩いてくだけだけど。

少し進むと抜けられそうな脇道を見つけた。

…行くか。

意を決して進んでいく。

いかにも怪しそうな占いサークルとかゲテモノ研究会とか、少人数のサークルの勧誘の場所らしいことはなんとなく分かった。

でもあたしが行きたいのは歓迎会の会場で、わりとわかりやすいおっきな講堂だったはずだけど。

右を見ては左を見てまた右を見て。

そんなことを繰り返していたら、突然聞こえて来たんだ。


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