外商部御曹司は先輩彼女に最上級のロマンスを提供する
「買った靴を履いたら靴擦れしたって文句つけて連れ込んで、一樹が帰って来なかったら無理矢理にでもシテた。
 今回は未遂に終わったけどさ、父さんが知ったらどう? 僕、花岡の名前に泥を塗る真似を止められないみたい」

 花岡君の瞳がみるみる尖り、怒りを宿す。
 そしてーー。

「先輩、申し訳ありませんでした!」

 亮太の代わりに頭を下げてくる。

「兄が先輩に乱暴しようと……」

 亮太の主張を口にすると頭痛がするのか、こめかみを揉む。

「勘違いしないで! 乱暴されてない!」

「では合意の上、兄と関係を持つつもりでした?」

「いや、合意はしてない、けど」

「なら兄の自白通りでしょう。俺が帰らなかったら取り返しのつかない事態になってましたよ?」

 クシャクシャ髪を掻く花岡君に対し、亮太はその苦悶の表情を真顔で眺める。
 亮太の発言はわたしを庇おうとした訳じゃない、乱暴する気もなかったと思う。
 ただ、それをどう証明したらいいのか方法が見当たらない。

「ーー兄貴、自分が何をしでかそうとしたのか分かってるんだろうな?」

 俯いたまま唸る。

「もちろん! 真琴ちゃんが望むなら責任取ってもいいよ。その場合、一樹が例のご令嬢と結婚してくれな?」

 話はどんどん良くない方へ転がっていく。

「2人とも、わたしを置き去りにしないでよ! 繰り返すけど乱暴されてないし、責任を取って貰いたいとも考えてない!」

「いいの? 勿体なくない? Crockettの亮太と付き合えるチャンスだよ〜」

 熱のない口説き文句で茶化す。そう、亮太の言葉には感情がない。飄々と本質を掴ませず、それでいて寂しがり屋の振りをする。
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