落ちこぼれ悪魔の扱い方
「……ははっ」

美弥の思いとは裏腹に、表情は勝手に笑顔をつくる。

男性は怯えて表情を硬くし、気味が悪いものを見るような目で美弥を見た。

一昨日、与崎にもこんな反応をされた気がする。


「何でもないです、本当、すみませんでした」

美弥はそれだけ言い残し、走ってその場から逃げる。

あてもなく足を動かしながら、美弥の胸は猛烈な悔しさに襲われていた。


なんで、親父のせいでここまで苦しめられなきゃいけないの。

どこまで私に迷惑かけるの。

もう死んでるくせに。


最低な思考が酸素不足の脳に浮かぶ。

美弥はしゃにむに走り続けた。

とにかく動いて、頭の中をかき回していたかった。


どれくらい走った頃だろうか。

歩道の段差につまずき、美弥は地面に倒れ込む。

咄嗟に着いた手の平に鋭い痛みが走った。

「痛っ」

手の平を見ると、小石が食い込んで血がにじんでいた。

美弥は両手に無理を言わせて何とか立ち上がり、顔を上げる。

「あはは……皮肉かな」

美弥は目の前にそびえる建物を見て、シニカルな笑顔を浮かべた。
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