落ちこぼれ悪魔の扱い方

我執


灰田は無神経で人を苛つかせることもあるが、悪いやつじゃない。

さっきの言葉だって、与崎を傷付けるために言ったのではないことくらい分かっている。


むしろその逆で、彼は彼なりに与崎の身を案じてくれているのだ。

与崎が鞭打ちという懲罰に耐えられないのではないかと、灰田はかなり心配している。

それは痛いほど伝わってきた。


……全く、そんな半端な覚悟じゃないっての。


そこまで考えて、与崎は美弥がいつか放った言葉を思い出した。


『そんなに心配しなくても大丈夫だって。私は親父殺されてんだよ? 

ぬるま湯に浸かって生きてるような普通の人間じゃないんだよ? 

だからその気になればなんだってできると思う』


思えば与崎も、美弥の覚悟を軽んじて怒られたことがあった。

相手のためを思って言ったことでも、それが結局相手を傷付けてしまったら意味がない。


なんだ、俺も同じか。

その後紆余曲折あって、無事に美弥とは和解できたけど……。


「本当に、これからって感じだったんだけどな」


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