落ちこぼれ悪魔の扱い方

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悩んでいることが予想以上に大きく影響し、その日はとことん不調だった。

居眠りを先生に指摘されたり、授業で指名されても答えられなかったり。


極めつけは体育の授業だ。

成績がかかっている重要なバレーボールの試合で、美弥は得意なはずのサーブをミスしてしまった。

その後もミスを連発し続けた美弥は、同じチームのクラスメートに非難の眼差しを向けられ続ける。

美弥は軽く萎縮して真剣に試合に取り組もうとしたが、どうしても昨日の与崎との会話が頭を掠める。

試合が終わるまで、美弥は与崎とバレーボールの板挟みに苦しむ羽目になってしまったのだった。


「前原さん。今日どうしたの?」

試合が終わった後にチームリーダーから尋ねられ、美弥はへらりと笑った。

「ただの寝不足。心配かけてごめんね」

「それならいいんだけど。……いや、良くないけど。早く寝た方がいいよ」

チームリーダーはそれだけ言うと、踵を返して他のメンバーのところに行ってしまった。


ふと視線を感じて振り向くと、体育館の隅に立っている咲子と目が合った。

咲子は必死に口を動かし、何かを伝えようとしている。

遠いから聞き取れないが、「大丈夫?」とか、そんなところだろう。

美弥は親指を立ててみせた。が、咲子はまだ何かを訴え続け、必死の形相で後ろを指差す。

「美弥ちゃん、危ない!」

咲子の声が聞こえると同時に、後頭部に強い衝撃が走った。
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