和歌を現代にー『わかれんと 思ふばかりも 恋しきを いかにかせまし 逢はぬ月日を 』樋口一葉

最終章

 それからしばらくして、彼は重たい雰囲気で学校に現れた。そのままの雰囲気で私に言う。
「親の転勤が決まったんだ。だから俺も転校することになってさ。しかも、急な転勤で今日が最後。さみしくなるけどごめんね。」
私はどうしようもなく辛くて、悲しかった。だけど凪くんに心配をかけたくなくて、顔に笑みを張り付けていった。
「親の転勤なら仕方がないよ。私は凪くんが好きな気持ちは変わらないから。応援してるね。」
泣きたい気持ちを堪えて私はこう綴った。そして
「また会えたらデートしようね。いっぱい話そうね。」
と、本心を伝えた。彼は少し元気を取り戻したように
「うん!ありがとう!」
といってくれた。そうして、二人は笑い合った。毎日会える最後に笑顔が溢れてよかった。そう思った。
 
 だけど、彼と会えない日々は想像以上にさみしくて辛くて、いつもみたいに過ごせなかった。こんなにも彼のことが好きだったのかと自覚する。こんなにも辛いないっそ別れてしまおうか。そう思ったけどそうしたら彼と会えなくなった私はどう過ごせばいいのか分からなかった。次会える日を楽しみに生きるしか、私にはないのだ。

 『わかれんと 思ふばかりも 恋しきを いかにかせまし 逢はぬ月日を 』
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