そのモラハラ彼氏、いらないでしょ? ~エリート御曹司の略奪愛
周囲のテーブルに客を入れないようウエイターに対応してもらっていはいるが、どうしたって注目を集めてしまう。
男女三人で、男の一人が立ったまま激昂しているのだから、痴話喧嘩を期待するのが人間の性だ。
「どうしてそんな――」
激しい攻撃に弱りそうになるが、陣の名誉のためにもそれは訂正しなくてはならない。どうにか言葉を紡ぎ出そうとしたが、陣に肩を引かれて、背中に庇われる。
彼が盾になってくれたのだった。
「とにかく座りなよ、朝倉さん。注目の的だ。――俺と七瀬さんが個人的に話すようになったきっかけは、あんたが作ったんだよ。先月、この店に彼女を呼び出し、置き去りにして帰ったよな。一人で取り残された彼女が、どれだけ気まずい思いをしたのか想像したことはあるか?」
座るよう勧められても宗吾は陣の前に立ったまま、険しい目で陣と七瀬をにらみつけている。
「知るかよ! 男に捨てられて泣いてたのを、おまえが引っかけたって話か?」
「捨てた? あんたは七瀬さんを捨てたのか?」
陣が心の底から呆れた顔をした後、怒りに満ちた表情になったのを七瀬は見逃さなかった。
「いちいちなんなんだよおまえは! 関係ないだろ、他人がしゃしゃり出て来るな!」
「そりゃ都合がいい。それなら、俺が遠慮なく大事にお迎えするから」
「はぁ!?」
いよいよ騒ぎが大きくなりそうで、立ち上がった七瀬は陣と宗吾の間に腕を伸ばして遮った。
「そうじゃないよ、宗吾さん。そういう話がしたいんじゃないの」
「は? おまえが先に、俺の浮気を疑ってきたんだろ?」
自分の疑惑については一切口にせず、七瀬の非ばかりをあげつらう。それが宗吾の話の持っていき方で、いつも七瀬はそれにやり込められてしまうのだ。
でも、これ以上耐えるのは無理だった。
「もう――別れたいの!」
七瀬の一声が、荒れた空気を静止させた。
男女三人で、男の一人が立ったまま激昂しているのだから、痴話喧嘩を期待するのが人間の性だ。
「どうしてそんな――」
激しい攻撃に弱りそうになるが、陣の名誉のためにもそれは訂正しなくてはならない。どうにか言葉を紡ぎ出そうとしたが、陣に肩を引かれて、背中に庇われる。
彼が盾になってくれたのだった。
「とにかく座りなよ、朝倉さん。注目の的だ。――俺と七瀬さんが個人的に話すようになったきっかけは、あんたが作ったんだよ。先月、この店に彼女を呼び出し、置き去りにして帰ったよな。一人で取り残された彼女が、どれだけ気まずい思いをしたのか想像したことはあるか?」
座るよう勧められても宗吾は陣の前に立ったまま、険しい目で陣と七瀬をにらみつけている。
「知るかよ! 男に捨てられて泣いてたのを、おまえが引っかけたって話か?」
「捨てた? あんたは七瀬さんを捨てたのか?」
陣が心の底から呆れた顔をした後、怒りに満ちた表情になったのを七瀬は見逃さなかった。
「いちいちなんなんだよおまえは! 関係ないだろ、他人がしゃしゃり出て来るな!」
「そりゃ都合がいい。それなら、俺が遠慮なく大事にお迎えするから」
「はぁ!?」
いよいよ騒ぎが大きくなりそうで、立ち上がった七瀬は陣と宗吾の間に腕を伸ばして遮った。
「そうじゃないよ、宗吾さん。そういう話がしたいんじゃないの」
「は? おまえが先に、俺の浮気を疑ってきたんだろ?」
自分の疑惑については一切口にせず、七瀬の非ばかりをあげつらう。それが宗吾の話の持っていき方で、いつも七瀬はそれにやり込められてしまうのだ。
でも、これ以上耐えるのは無理だった。
「もう――別れたいの!」
七瀬の一声が、荒れた空気を静止させた。