そのモラハラ彼氏、いらないでしょ? ~エリート御曹司の略奪愛
「今日の結果をもって、年明けに懲罰委員会が開催されることになるんだけど……」
七瀬にはそれをかばう言葉がない。すべて、大人である宗吾が自らの言動で落ちた穴だ。
「彼をセクハラで訴えるなら、力になるよ」
「そこまではいいです……! でも、陣さんに対して変な噂が立ったりしないでしょうか。会社であんなこと言って……」
陣が恋人を寝取ったと何度も叫んでいたから、それを聞いた社員が真に受けたらと思うと、平常心でいるのが難しい。
「大丈夫でしょ。七瀬さんが毅然と対峙してた姿、かっこよかった。あの七瀬さんを見てくだらないことを考えるような輩、うちの会社にいらないし」
「陣さんもとってもかっこよかったです。というか、すごくうれしかった。陣さんが私を尊重してくれているって思えて」
そして、貶されることに慣れすぎていた自分にも気付けた。気付きはとても大事なことだ。
「七瀬さん、それ当たり前だから。好きな人に暴力で悲しい顔をさせる意味が、俺には本気でわからない。正直なところ、人前じゃなければ殴って黙らせてたと思うよ。でも、俺まで同じ穴の狢になってしまったら説得力がなくなるし、何より非暴力に反するから」
「怒りの感情が湧くのは人として当然ですけど、その感情を理性で抑えるのは簡単なことではないですから。怒りに任せて行動して、いい結果になることはないですしね……」
「その通りとしか言いようがないな。でも、あんな下劣なことを人前で叫ぶなんて……やっぱ殴っておけばよかった」
一瞬、本気の顔に見えたが、七瀬と目が合うと彼はすぐに冗談めかし、満面の笑みを浮かべた。
「でも、これで決着がついたって考えてもいいんでしょうか。またスタジオまで来られたら……」
昨日の朝みたいにレッスンの前後を狙われたら、避けようがない。宗吾は自宅待機だというし、週末からは年末年始の長期休みに入ってしまうのだ。
年末年始は七瀬のコマも増えるから、不幸な遭遇の確率も上がってしまう。
「これ以上、七瀬さんをつけ回すようなら、さすがに彼の学習能力を疑うけど……その辺のことは俺が片付けておくから心配しないでいいよ」
「片付ける……って?」
陣なら心配することはないだろうけど、なんだか不穏な発言だ。
七瀬にはそれをかばう言葉がない。すべて、大人である宗吾が自らの言動で落ちた穴だ。
「彼をセクハラで訴えるなら、力になるよ」
「そこまではいいです……! でも、陣さんに対して変な噂が立ったりしないでしょうか。会社であんなこと言って……」
陣が恋人を寝取ったと何度も叫んでいたから、それを聞いた社員が真に受けたらと思うと、平常心でいるのが難しい。
「大丈夫でしょ。七瀬さんが毅然と対峙してた姿、かっこよかった。あの七瀬さんを見てくだらないことを考えるような輩、うちの会社にいらないし」
「陣さんもとってもかっこよかったです。というか、すごくうれしかった。陣さんが私を尊重してくれているって思えて」
そして、貶されることに慣れすぎていた自分にも気付けた。気付きはとても大事なことだ。
「七瀬さん、それ当たり前だから。好きな人に暴力で悲しい顔をさせる意味が、俺には本気でわからない。正直なところ、人前じゃなければ殴って黙らせてたと思うよ。でも、俺まで同じ穴の狢になってしまったら説得力がなくなるし、何より非暴力に反するから」
「怒りの感情が湧くのは人として当然ですけど、その感情を理性で抑えるのは簡単なことではないですから。怒りに任せて行動して、いい結果になることはないですしね……」
「その通りとしか言いようがないな。でも、あんな下劣なことを人前で叫ぶなんて……やっぱ殴っておけばよかった」
一瞬、本気の顔に見えたが、七瀬と目が合うと彼はすぐに冗談めかし、満面の笑みを浮かべた。
「でも、これで決着がついたって考えてもいいんでしょうか。またスタジオまで来られたら……」
昨日の朝みたいにレッスンの前後を狙われたら、避けようがない。宗吾は自宅待機だというし、週末からは年末年始の長期休みに入ってしまうのだ。
年末年始は七瀬のコマも増えるから、不幸な遭遇の確率も上がってしまう。
「これ以上、七瀬さんをつけ回すようなら、さすがに彼の学習能力を疑うけど……その辺のことは俺が片付けておくから心配しないでいいよ」
「片付ける……って?」
陣なら心配することはないだろうけど、なんだか不穏な発言だ。