『あなたを愛することはございません』と申し上げましたが、家族愛は不滅ですわ!
「わたくしっ……ですかぁ!?」
「そうだ。とある事故によって我と小娘は契約状態にある。よって、お前の力を貰えば可能になるのだ。その条件は、お前の命――10年分だ」
「なるほどぉっ! そういうことですの――」
「駄目だっ!!」
「ダメぇっ!」
「ダメにきまってるじゃない!」
次の瞬間、父子が同時に叫んだ。あまりの剣幕にキャロラインはビクリと肩を揺らす。
彼女は、眉を釣り上げている三人に、おそるおそる声をかけた。
「でも……それでタッくんが守れるのなら、良いではありませんか?」
「それだけは絶対に駄目だ! 私は許さないぞ。そんなことをするくらいなら、私が処刑されに行く」
「おかあさま、しんじゃイヤぁぁっ! ふえぇぇぇんっ!」
「そうよ! あんたがいなくなったら、また、あたらしい『ははおや』がくるわ! ……あ、あたしは、べつにあんたのこと、しんぱいしてないけど」
それぞれが、思い思いの言葉で断固反対する。家族が本気で心配してくれるのを感じて、キャロラインは胸がじんと熱くなった。
「では、この計画はなしだな」
タッくんは満足そうに深く頷いた。彼としても多少は契約者のことを気にかけているらしい。
「当然だ」
「おかあさま、しなないよね? いなくならないよね?」
「大丈夫ですわよ。お継母様はレックスやロレッタと一緒ですよ〜」
「べ、べつに、あたしは、いっしょじゃなくても、いいから!」
とか言いつつも、ロレッタはレックスと一緒にキャロラインのドレスに貼り付いている。
「しかし……」
ハロルドが再び頭を抱えた。
「どうやって弁解するかを真剣に考えないとな。時間があれば、私が巨大な熊か鷹を狩ってこれるのだが……」
「旦那様、巨大生物がいれば良いのですか?」
「あぁ。やや強引だが、城の明かりに照らされてドラゴンと見間違えたのだろう……という結論にできる。あの日は王太子の婚約でお祝いムードで、密かに兵士にも酒が出回っていたらしいからな」
キャロラインは顎に手をあてて少し考え込む。
「巨大生物……そうですわっ!」
そして、顔を輝かせながら「ポンッ!」と大きく手を叩いた。
「名案が浮かびましたわぁ〜!」
「何か策があるのか?」
「はいっ! まぁわたくしに任せてください! ――みんな、可能な限り大量のオーガンジーの生地を集めてちょうだい! それと丈夫なロープがいるわ! あとは……バンブー! この国にはバンブーはありますの!?」