『あなたを愛することはございません』と申し上げましたが、家族愛は不滅ですわ!

 ――パチン!

 キャロラインが指を鳴らすと、突如風が強くなった。隅っこの陰にこっそり隠れいてるタッくんが風を起こしたのである。

「はぁっ!」

 キャロラインは馬を蹴り上げ、走り出す。
 前へ進むにつれて、謎の物体の群れがだんだんと宙に持ち上がる。

 そして、

「「「おおおおっ!!」」」

 騎士たちの歓声が上がる。豪快な奥様に圧倒されて、口をぽかんと開いたままだった。

 それは、(カイト)が何十にも連なった光景だった。

 凧はエイの形をして、長い尻尾が付いていた。
 各大きさは大人が両手を広げたくらいで、風に揺られてバタバタとはためいている。
 地面にできた影と重なって、まるでドラゴンの翼のようだった。

「これはカイトという、東方の遊びだ。夜会の日に子供たちが遊び足りないって、こっそり王城の近くの広場まで行ってたみたいなんだ」とハロルド。

「これは……確かにドラゴンだな」

 ルークは感心したように頷く。
 背後の騎士たちも、初めて見るダイナミックな光景に心を奪われていた。

 こうして、『ハーバート家のドラゴン』は瞬く間に話題になり、キャロラインがいろんな場所へ度々披露しに行った。
 その壮大な様子を数多くの貴族が目撃し、やがて噂は消えていった。

 そしていつの間にか、王都の子供たちの遊びの一つとして定着していったのだった。
 めでたし、めでたし。

< 106 / 132 >

この作品をシェア

pagetop