『あなたを愛することはございません』と申し上げましたが、家族愛は不滅ですわ!

 刹那。

「うわあああぁぁぁぁぁっ!!」

 レックスは大声で叫びだした。

「うるさい! 黙れ!」

 バーバラは威嚇するように鞭を宙に振るう。でも、彼は叫び続けるのをやめなかった。

「うわあああああ!! ぼくは、ここだよおおおおお!! おかあさまあああああ!!」

「ど、どうしたのよっ!」

 弟のいきなりの豹変に、姉の涙も止まって、咎めるように訪ねた。
 彼はこそりと耳打ちをする。

「ほら、おかあさまがいっていたでしょう? こえはおおきくって」

「はぁ?」

「きっと、いまごろ、おかあさまは、ぼくたちを、さがしているはずだよ。だから、おおごえで、しらせているんだ。タッくんは、となりまちの、おとも、きこえるって、いっていたから」

 ロレッタの顔がパッと晴れる。弟の言うことは妙な説得力があった。
 あの(・・)お継母様《おかあさま》なら、絶対に助けに来てくれるはず。そう思うと、少し胸が軽くなった。

 双子は確認するように深く頷き合って、

「うわあああぁぁぁぁっ!!」

「わあぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 二人一緒になって、目一杯の力で叫び続けた。キンキンした子どもの声が、ガンガンと壁や天井に反響していく。

「な、なんだい、お前ら!」

「おい、黙らせろ!」

 再び乳母の鞭が降りかかる。
 でも、レックスは叫び声を止めなかった。身体が悲鳴を上げても、力の限り声を振り絞る。

 絶対に、負けるもんか。

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