『あなたを愛することはございません』と申し上げましたが、家族愛は不滅ですわ!
双子は黙りこくってチラチラと探るように互いの顔を見つめていたが、
「ぼ、ぼく! おかあさまのおてつだいをする! おとうさまに、おこられるんでしょう?」
先にレックスが口火を切った。
「ありがとう、レックス。あなたはどんなお洋服を着てみたいの?」
「ぼくは、おとうさまみたいな、カッコイイおようふくをきこなしたいんだ!」
レックスは父のパリッと着こなした軍服姿に憧れていた。
「分かったわ。――じゃあ、あの青い生地はどうかしら?」
キャロラインが控えていた職人に目配せすると、すぐにレックスの採寸が始まる。
その様子を、羨ましそうに、でも少し拗ねたようにロレッタが見つめていた。
「ロレッタは、ピンクや水色の可愛いドレスが似合うんじゃないかしら? さぁ、お継母様と一緒に試着をしましょうー!」
キャロラインは有無を言わさずにロレッタも採寸へと導く。
「し、しかたないわね! あたしも、てつだってあげるわ。ありがたくおもいなさいっ!」
ロレッタは口ではそう言いつつも、楽しそうに服を選びはじめた。
今日はいつもと違って、色とりどりのドレスがある。どれも眩しくて、喜びで胸が満たされていった。
(これで、ひとまず服の件は解決ね。今日でお茶会以外の服も全部仕立てちゃいましょう)
キャロラインは初めて双子と出会った時から、不可解に感じることがあった。二人とも公爵家の子供にしては、みすぼらしい身なりをしていたのだ。
もちろん最上級の生地と仕立てではあった。
でも、着古してところどころ傷みがあるし、色も地味で、形も少し前の流行で野暮ったい。下級貴族ならまだしも、公爵家の子供には相応しい格好には見えなかった。
(旦那様はお忙しいから、お子たちと接する機会も少ない。それに……)
それに、ハロルドとの晩餐の日は、もう少しマシな服装をしていた。だから、男親なら細かい点など気付かないだろう。
(わたくしは、見逃しませんことよ……)
いつも笑顔を絶やさないキャロラインが、初めて瞳に怒りを宿した瞬間だった。