『あなたを愛することはございません』と申し上げましたが、家族愛は不滅ですわ!
◇
「うわぁ〜っ!」
「キラキラだわ……」
レックスもロレッタも、初めて見る光景に目を丸くする。
キャロラインの部屋には、多くの子供用のドレスやスーツ、美しい布、ピカピカの靴……。
他にもテーブルにはチョコレート菓子がたくさん並んで、夢のような空間だった。
二人はその鮮やかな景色に、一瞬で心を奪われた。
「これ、ぜんぶたべていいの?」
「もちろんですわ! いつも頑張ってるご褒美よ! でも、晩餐が食べられなくなっちゃうから、少しずつよ? 」
「わーい! ありがとう、おかあさま!」
「ドレスも……?」
それまでじっと黙り込んで、惚れ惚れと部屋の中を見つめていたロレッタが、囁くように言った。
キャロラインはにっこりと微笑んで、
「あななたち、来週はお茶会があるでしょう? 今日は服を仕立てましょう。お継母様からのプレゼントよ!」
「っ……!」
ロレッタの顔がきらめいた。でも、それを周囲に悟られないように我慢して、妙ちくりんな表情になってしまっていた。
(やっぱり、オシャレが好きなのよね。女の子ですもの)
可愛い娘を眺めながら、キャロラインは口元を緩めた。
昔の幼い自分もそうだったから解る。女の子は、いつだってお姫様みたいなキラキラに憧憬を抱いているのだ。
「おっほん!」
その時、和やかな空気を裂くように、乳母のバーバラが大きく咳払いした。そして険しい顔つきでキャロラインを見やる。
「なんですの?」
公爵夫人は、いつもより低音で答えた。途端に剣呑な雰囲気が醸し出てくる。その微妙な揺れに子供たちは反応して、ビクリと肩を揺らした。
「お嬢様もお坊ちゃまも、決められた予算がございます。いくら奥様でも、それを勝手に使われると――」
「あら? 今日はわたくしからのプレゼントですわ! 当然、わたくし……公爵夫人の予算から支払いますわぁ〜っ!」
「っ……」
「ですので、予算はご心配なく! 旦那様からじゅう〜〜〜んたくな、資金をいただいていますから!」
「……左様でございますか」
バーバラは何か言いたげにキャロラインを見るが、新しい女主人公の見えない威圧感に口を閉ざした。
「ロレッタとレックスも、わたくしの予算の消費を手伝ってくださる? このままですと、お金が余りまくって旦那様に叱られますわぁ〜」