『あなたを愛することはございません』と申し上げましたが、家族愛は不滅ですわ!





「うわぁ〜っ!」

「キラキラだわ……」

 レックスもロレッタも、初めて見る光景に目を丸くする。

 キャロラインの部屋には、多くの子供用のドレスやスーツ、美しい布、ピカピカの靴……。
 他にもテーブルにはチョコレート菓子がたくさん並んで、夢のような空間だった。
 二人はその鮮やかな景色に、一瞬で心を奪われた。

「これ、ぜんぶたべていいの?」

「もちろんですわ! いつも頑張ってるご褒美よ! でも、晩餐が食べられなくなっちゃうから、少しずつよ? 」

「わーい! ありがとう、おかあさま!」

「ドレスも……?」

 それまでじっと黙り込んで、惚れ惚れと部屋の中を見つめていたロレッタが、囁くように言った。
 キャロラインはにっこりと微笑んで、

「あななたち、来週はお茶会があるでしょう? 今日は服を仕立てましょう。お継母様からのプレゼントよ!」

「っ……!」

 ロレッタの顔がきらめいた。でも、それを周囲に悟られないように我慢して、妙ちくりんな表情になってしまっていた。

(やっぱり、オシャレが好きなのよね。女の子ですもの)

 可愛い娘を眺めながら、キャロラインは口元を緩めた。
 昔の幼い自分もそうだったから解る。女の子は、いつだってお姫様みたいなキラキラに憧憬を抱いているのだ。

「おっほん!」

 その時、和やかな空気を裂くように、乳母のバーバラが大きく咳払いした。そして険しい顔つきでキャロラインを見やる。

「なんですの?」

 公爵夫人は、いつもより低音で答えた。途端に剣呑な雰囲気が醸し出てくる。その微妙な揺れに子供たちは反応して、ビクリと肩を揺らした。

「お嬢様もお坊ちゃまも、決められた予算がございます。いくら奥様でも、それを勝手に使われると――」

「あら? 今日はわたくしからのプレゼントですわ! 当然、わたくし……公爵夫人の予算(・・・・・・・)から支払いますわぁ〜っ!」

「っ……」

「ですので、予算はご心配なく! 旦那様からじゅう〜〜〜んたくな、資金をいただいていますから!」

「……左様でございますか」

 バーバラは何か言いたげにキャロラインを見るが、新しい女主人公の見えない威圧感に口を閉ざした。

「ロレッタとレックスも、わたくしの予算の消費を手伝ってくださる? このままですと、お金が余りまくって旦那様に叱られますわぁ〜」
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